2019年4月に発生した衝撃的な大火災から数ヶ月が経過しましたが、フランスの象徴であるノートルダム大聖堂は、いまだに深い傷を癒やすための修復作業が続いています。例年であれば、荘厳な鐘の音が響き渡り、多くの参拝者で賑わうはずの2019年12月24日のクリスマスイブ。しかし、今年の夜空に響くのは祈りの歌声ではなく、建物の崩落を防ぐための慎重な作業音だけでした。
フランスの地元紙パリジャンが報じたところによると、この由緒ある寺院でクリスマスの深夜ミサが行われないのは、なんと1803年以来のことだそうです。ミサとはキリスト教において最も重要とされる典礼儀式を指しますが、世界を巻き込んだ激動の大戦期でさえ欠かさず続けられてきました。今回の断念は、フランス革命という歴史の荒波を乗り越えて以来、実に216年ぶりとなる異例の事態と言えるでしょう。
SNS上では、この静かな夜に対して「悲しいけれど、未来に残すための賢明な判断だ」「いつかまたあの場所で祈れる日を待っている」といった温かいメッセージが溢れています。多くの人々が、物理的な建物としての復旧だけでなく、フランスの精神的な支柱が再生することを切に願っている様子が伺えました。伝統が途切れることの重みを感じつつも、再建に向けた一歩一歩が世界中の人々の心を一つに繋いでいます。
私自身の考えを述べさせていただけるなら、形ある建物が一時的に閉じられたとしても、人々の心の中にある信仰や慈しみの精神までが失われることはありません。2019年12月25日の静寂は、決して絶望の象徴ではなく、次なる数百年を支えるための「再生への準備期間」なのだと感じます。今はただ、懸命に作業を続ける技術者の方々に敬意を表しつつ、再び聖堂に美しい灯りがともる日を心待ちにしたいものです。
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