2018年9月4日に日本列島を襲った非常に強い台風21号は、関西地方を中心に甚大な被害をもたらしました。その中でも特に世間の注目を集めたのが、関西国際空港の連絡橋にタンカー「宝運丸」が激突した衝撃的な事故です。この一件について、大阪地方検察庁は2019年12月24日までに、業務上過失往来危険の疑いで書類送検されていた41歳の元船長を、嫌疑不十分により不起訴処分とすることを決定しました。
「業務上過失往来危険罪」とは、仕事上の注意義務を怠り、電車や船舶などの往来に危険を生じさせることで成立する法律の規定を指します。当時、タンカーは激しい暴風雨によって錨を降ろしていても流される「走錨(そうびょう)」という現象に見舞われていました。検察側は今回の判断について、長期間にわたる捜査を尽くしたものの、刑事責任を問うために必要な過失の事実を十分に認定するには至らなかったと説明しています。
SNSで渦巻く賛否の声と、極限状態での決断が問いかけるもの
この不起訴のニュースが報じられると、SNS上では「あの記録的な暴風の中で船を制御するのは不可能だったのではないか」といった、現場の状況に理解を示す意見が多く寄せられました。一方で、インフラを破壊した責任の所在を明確にすべきだという厳しい声も一部で見受けられます。当時の気象条件は、通常の安全管理の想定を遥かに超えるものであり、プロの航海士であっても抗い難い自然の猛威がそこには存在していたのでしょう。
私自身の見解としては、今回の不起訴判断は現代の法治国家における妥当な着地点だと感じています。もちろん、空港が孤立し多くの利用者が取り残された社会的影響は計り知れません。しかし、個人の責任を追及するだけでは解決しない、異常気象下での防災インフラの在り方という大きな課題が浮き彫りになったと言えます。私たちはこの事故を単なる過去の記録とするのではなく、将来の防災対策をアップデートするための重要な教訓として刻むべきではないでしょうか。
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