2019年12月25日の東京株式市場において、ドラッグストア大手「スギ薬局」を運営するスギホールディングスの株価が、一時前日比10%安の5690円まで急落するという衝撃的な展開を迎えました。これは約3カ月半ぶりの安値水準であり、市場には動揺が広がっています。直前に発表された2019年3月から11月期の連結決算では、純利益が過去最高を更新するという素晴らしい数字を叩き出したにもかかわらず、なぜこのような大幅な下落が起きたのでしょうか。
今回の急落の背景には、投資家の「材料出尽くし感」による利益確定売りが集中したことが挙げられます。スギホールディングスの株価は2019年の年明けから前日までになんと45%も上昇しており、好決算をきっかけに一旦利益を確保しようとする動きが強まりました。SNS上でも「最高益なのにここまで下がるのか」「期待値が高すぎた反動が怖い」といった驚きの声が相次いでおり、市場の過熱感が一気に冷え込んだ形と言えるでしょう。
積極投資が招く利益率低下の懸念とは
投資家が特に警戒心を強めたのは、売上高に対する本業の儲けを示す「売上高営業利益率」の低下です。2019年3月から11月期の同利益率は5.1%となり、直近の3月から8月期と比較して0.5ポイント低下しました。スギホールディングスは現在、東京や名古屋の都心部のみならず、これまで未開拓だった北陸地方へも進出するなど、86店舗の新規開業と10店舗の大規模改装を断行しています。この攻めの姿勢が、コスト増という形で利益を圧迫したのです。
専門家の分析によれば、好立地への出店は将来の収益源となる一方で、賃料などの固定費負担が重くのしかかっているのが現状です。さらに、現在のドラッグストア業界は店舗数が飽和状態に近づいており、無理な拡大路線は将来的な収益悪化を招く「リスク」であると捉える投資家も少なくありません。市場全体が成熟期に入っているからこそ、単純な規模の拡大よりも、一店舗あたりの効率性や質の高さが厳しく問われる局面に来ているのでしょう。
割高感と今後の成長への期待感
もう一つの懸念材料は、株価が利益の何倍まで買われているかを示す指標「PER(株価収益率)」の高さです。当時のスギホールディングスのPERは約20倍に達しており、競合するマツモトキヨシホールディングスやココカラファインが16倍台であったことに比べると、市場からは「割高である」という厳しい評価が下されました。期待値が先行しすぎていた実態が、株価の調整という形で表面化したと言っても過言ではありません。
しかし、株価は終値で前日比6%安の5900円まで戻しており、中長期的な成長を見込んだ「押し目買い(株価が下がったタイミングで買うこと)」も活発に行われました。私は、この一時的な下落は健全な調整の範囲内だと考えています。短期的にはコスト増が目立ちますが、空白地帯への進出は将来的なシェア拡大に不可欠な戦略です。目先の利益率に一喜一憂せず、この積極投資が数年後にどのような果実をもたらすのか、冷静に見守る姿勢が求められるでしょう。
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