私たちの腕で時を刻み続ける「G-SHOCK」。その圧倒的なタフさが、今度は巨大なビルや橋を支える力へと姿を変えようとしています。カシオ計算機が現在、発明家・道脇裕社長率いるベンチャー企業「NejiLaw(ネジロウ)」とタッグを組み、驚異の共同開発を進めているのをご存知でしょうか。
その名も「SmartNeji(スマートネジ)」。SNS上でも「G-SHOCKの技術をネジに使うなんて発想が斜め上すぎる」「日本のものづくりの意地を感じる」と、大きな期待が寄せられています。時計事業に依存しない新たな収益の柱として、カシオは今、未踏の領域へと足を踏み出しているのです。
物理を超えた!?「絶対に緩まない」驚異の構造
2020年01月03日現在、さいたま市の研究所では凄まじい実験が繰り返されています。ジェットエンジンに匹敵する140デシベルもの轟音と、装置が破壊されんばかりの激しい振動。しかし、そこに鎮座するネジは、まるで時間が止まったかのように一ミリも緩む気配を見せません。
この秘密は「L/R構造」にあります。これは一本のボルトに対して、右回りと左回りの異なる方向に締める二つのナットを組み合わせる画期的な仕組みです。物理的にお互いのナットがストッパーとなり、理論上「絶対に緩まない」という、インフラ業界の常識を覆す魔法のようなネジなのです。
G-SHOCKの魂が宿る「インテリジェント・ネジ」
スマートネジは単に頑丈なだけではありません。ネジの頭部には、ひずみを検知する「応力センサー」や「加速度センサー」が内蔵されています。ここで、カシオが培ってきたG-SHOCKの出番です。過酷な振動の中でも壊れない電子基板の開発には、同ブランドのマネージャークラスが10名も集結しました。
検知されたデータはクラウド経由でAIが分析し、ユーザーのスマホへリアルタイムに届けられます。いわば「ネジが自ら健康状態を報告する」システムです。これにより、2019年02月に改正された国の点検要領にも対応し、人手に頼っていた橋やトンネルの点検を劇的に効率化させるでしょう。
異業種コラボで加速するカシオの「脱・時計」戦略
カシオの攻勢はネジだけにとどまりません。2019年度から始まった新規事業のラッシュは目を見張るものがあります。かつてのデジカメ技術を監視カメラに転用し、ルネサスエレクトロニクスと生体認証技術を開発。さらにはアシックスと組み、ランニングフォームを解析するサービスも2020年度から始動します。
また、コーセーとは家庭用プリンターの技術を応用した「ネイルプリンター」を完成させるなど、自社の「引き出し」を最大限に活用しています。樫尾和宏社長が語る「誰も参入していない領域の開拓」は、まさに現実のものとなりつつあります。カシオの挑戦は、私たちの生活をより安全で豊かなものに変えてくれるはずです。
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