セイコー・カシオが営業増益!2019年中間決算で見えた「高価格帯シフト」と明暗を分けた戦略

日本の時計業界を牽引する主要3社の2019年4月1日から2019年9月30日までの連結決算が、2019年11月12日に出そろいました。今回の発表では、セイコーホールディングスとカシオ計算機の2社が前年を上回る営業増益を記録し、業界内での勢いの差が鮮明になっています。特にアジア圏や国内市場において、付加価値の高いモデルが人気を博したことが大きな要因といえるでしょう。

SNS上では「やはり日本ブランドの信頼性は高い」といった声や、「最近の高級路線なG-SHOCKが格好いい」といったポジティブな反応が目立ちます。消費者の目が肥えていく中で、単なる時刻を知る道具ではなく、所有欲を満たすステータスとしての腕時計が求められている傾向が浮き彫りになりました。こうした市場の変化を敏感に察知した企業が、着実に利益を伸ばしている状況です。

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高級路線が功を奏したセイコーとカシオの躍進

セイコーホールディングスの営業利益は、前年同期比で23%増となる70億円に達しました。特筆すべきは、同社のフラッグシップブランドである「グランドセイコー」の躍進です。半導体製造装置向け部品の需要減という逆風がありましたが、高価格帯ウォッチの好調が見事にその穴を埋めました。中村吉伸社長も、2019年10月の消費税増税を前にした駆け込み需要がプラスに働いたと分析しています。

一方、カシオ計算機も営業利益166億円を叩き出し、13%の増益を達成しました。立役者はやはり、世界的にファンの多い「G-SHOCK」シリーズです。特に「Gメタル」と呼ばれる、金属外装を施して高級感と耐久性を両立させたモデルが、国内の大人世代から熱烈な支持を集めています。中国市場でも電子商取引、いわゆるECサイトでのプロモーションが実を結び、グローバルな成長を見せました。

ここで注目したいのは、両社が共通して「ブランドの再定義」に成功している点です。安価な時計が溢れる現代において、素材や技術にこだわった高単価な商品へシフトする戦略は、非常に理にかなっています。趣味性の高い製品に特化することで、価格競争から脱却し、強固なファン層を築き上げているのは編集者の目から見ても鮮やかな経営判断だと感じます。

スマートウォッチの台頭とムーブメント市場の苦戦

対照的に、シチズン時計は営業利益が48%減の57億円と、厳しい着地を余儀なくされました。この減益の背景には、時計の心臓部である「ムーブメント」の販売不振があります。ムーブメントとは、針を動かし時を刻むための駆動装置のことですが、近年はこの部品需要が世界的に変化しています。その大きな要因が、Apple Watchに代表されるスマートウォッチの普及です。

多機能なウェアラブル端末が普及したことで、従来の伝統的な時計駆動装置を必要とする市場が相対的に縮小してしまいました。この構造的な変化に対し、どのように自社の強みを再構築していくかが、今後のシチズンにとっての大きな課題となるでしょう。SNSでは「シチズンのデザインも好きなので頑張ってほしい」という応援の声もあり、ブランド力自体は決して衰えていません。

こうした情勢を踏まえ、2020年3月期の通期見通しでは、セイコーホールディングスが唯一の上方修正を発表しました。従来予測に5億円を上乗せし、前期比6%増の100億円を目指す強気な姿勢を見せています。ラグジュアリーな価値を提供するセイコー・カシオと、市場の荒波を受けるシチズン。2019年後半の時計業界は、この二極化がさらに加速していくに違いありません。

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