世界中で熱狂的な盛り上がりを見せている「eスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)」の波が、ついに九州の地にも本格的に押し寄せています。電子機器を使ってゲームの腕前を競い合うこの新しいスポーツは、今や日本国内でも爆発的な認知度を誇るようになりました。そんな中、九州や沖縄の全域にこの感動を広げようと奮闘しているのが、2018年に設立された福岡eスポーツ協会を率いる中島賢一会長です。
中島会長はもともと福岡県や福岡市の職員として活躍し、ゲームを取り入れた地域活性化に尽力してきたという異色のバックグラウンドの持ち主。ネット上では「行政出身のトップだからこそ、地域に根差した信頼できる活動が期待できる」「本物のゲーム愛を感じる」と、SNSを中心に大きな期待と応援の声が数多く寄せられています。現在は会社員としての顔も持ちながら、二足のわらじで多忙を極める日々を送り、楽しさを共有できる社会の実現へ向けて走り続けているのです。
筋金入りのゲームフリークでもある彼が協会を立ち上げる最大の転機となったのは、2019年に福岡市での開催が計画された、世界最高峰の格闘ゲーム大会の日本版「EVO JAPAN」の誘致でした。当時、市のゲーム・映像係長だった中島会長は、この情報を耳にした瞬間に盆と正月が一度にやってきたような興奮を覚えたといいます。福岡には有名ゲームメーカーのレベルファイブをはじめとする産業が集積しており、もともとゲームを愛する土壌が深く耕されていました。
国内外から多くのファンが集まるこの世界的大会は、九州に新たなゲーム文化を定着させる絶好のチャンスだと彼は確信します。「この機会を絶対に逃してはならない」という強い危機感と情熱に突き動かされ、志を同じくする有志たちとともに一気に協会設立へと動いたのです。行政の枠を超えたこのスピード感あふれる挑戦は、地域のゲームファンだけでなく多くのビジネスパーソンからも大きな注目を集めることとなりました。
キャリアのスタートはIT企業でしたが、転職を機に公務員へと転身した中島会長は、日本生まれのプログラミング言語「Ruby(ルビー)」を用いた産業振興など、常に最先端のIT施策に携わってきました。福岡市に赴任してからも、市役所の巨大な壁面をゲーム画面に変えてしまう壮大なプロジェクションマッピングを成功させるなど、そのアイデア力は群を抜いています。業界では有名な仕掛け人でありながら、本人は「面白い場所をうろついているだけ」と笑います。
私はこの飾らない謙虚な姿勢こそが、多くの人を巻き込み、大きなプロジェクトを成功に導く最大の魅力だと確信しています。彼が安定した公務員の立場を辞してまで見据えるのは、効率性だけを追求するテクノロジーの先にある、人々が心から笑顔になれる「楽しさ」に満ちた社会の姿です。現在はNTT西日本のエンターテインメントプロデューサーとして社内のeスポーツ大会も手掛け、官民の垣根を越えた新しいエンタメの形を模索しています。
2019年の夏からは九州の各県が火花を散らす県別対抗戦もスタートさせ、地域全体のコミュニティはかつてない熱気に包まれています。「いずれは野球やサッカーのように誰もが親しむ存在に育て上げ、将来は実業団チームのような仕組みも作りたい」と語る中島会長の瞳は、少年のように輝いていました。国籍や年齢、性別すらも一切関係なく、誰もが同じ画面を見て熱狂できるeスポーツは、九州の未来を明るく照らす起爆剤になるに違いありません。
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