ビルやマンションの移動に欠かせないインフラを支える東芝エレベータ株式会社が、2020年1月1日付で新たな役員人事を発令しました。今回の人事異動は、同社がこれから迎える新時代を見据えた、極めて戦略的な布陣であると感じられます。経営の根幹を支える財務や調達の強化はもちろんのこと、何よりも注目すべきは、最先端の建築テクノロジーである「BIM」の活用を全社的に推し進めようとする強い意志が、今回の組織体制から読み取れる点でしょう。
この人事発表に対して、SNSなどのインターネット上では「東芝エレベータも本格的にBIMへ舵を切るのか」「エレベーター大手の動きによって、今後の建築業界全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)がさらに加速しそうだ」といった、期待に満ちた声が数多く寄せられています。スマートビルの需要が世界中で高まる現代において、このタイミングでの体制強化は、業界関係者からも非常に大きな関心を集めているようです。
今回、特に注目したいのが、取締役兼執行役員常務情報戦略推進センター長である幡野一尋氏が「BIM拡大プロジェクト」の分担を兼任することになった点です。ここで登場する「BIM(ビム)」とは、Building Information Modeling(ビルディング インフォメーション モデリング)の略称で、コンピューター上に作成した3次元の建物デジタルモデルに、建材の仕様やコスト、管理情報などの属性データを統合した最先端のシステムを指します。
従来の2次元の図面とは異なり、立体的なモデルを見ながら設計や施工を進められるため、設計ミスの防止や工期の短縮に劇的な効果を発揮します。私は、エレベーターという建物の心臓部とも言える設備にこのBIMを深く浸透させることで、建物の設計段階から効率的な配置やメンテナンスのシミュレーションが可能になり、顧客へ提供する価値が飛躍的に高まると確信しています。情報戦略のトップがこのプロジェクトを牽引する意味は大きいでしょう。
さらに同社は、経営基盤を強固にするための布陣も同時に整えています。同じく取締役兼執行役員常務を務める神崎修一氏が、これまでの経理に加えて「経営企画部」の分担を兼務することになりました。お金のプロフェッショナルである経理トップが経営の舵取り役である経営企画を統括することで、財務的な裏付けに基づいた、より堅実でスピーディーな経営判断が下されることが期待されます。
加えて、執行役員常務であり生産本部長を務める川崎幹氏が、新たに「調達部」の分担を兼任することになりました。モノづくりの現場である生産のトップが原材料や部品の買い付けを行う調達部門を巻き取ることで、製造工程の無駄を徹底的に省き、コストパフォーマンスの高い製品づくりが実現するのではないでしょうか。攻めと守りの両面を強化した東芝エレベータの、2020年におけるさらなる躍進が今から非常に楽しみです。
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