海外の日本文化研究を守れ!ウィーン世界博物館と歴博が挑む国際共同プロジェクトと次世代育成への挑戦

オーストリアのウィーン世界博物館には、19世紀後半に集められた埴輪の頭部や銅鐸、アイヌ民族の武具など、約5000点もの貴重な日本資料が眠っています。これらは外交官ハインリッヒ・フォン・シーボルトが収集したもので、日本の国立歴史民俗博物館(歴博)が現在、詳細なデータベース化を進めています。ネット上でも「海外にこれほどの宝が眠っていたとは」と驚きの声が上がっています。

歴博の日高薫教授は、これらの資料が開国期の民俗研究に不可欠であると熱く語ります。2020年2月からは、調査成果を披露する展覧会が現地で共同開催される予定です。従来の「海外の成果を日本に持ち帰る」スタイルから、ここ5、6年は「現地での展示」へと舵を切りました。この変化の背景には、海外における日本研究の危機的な状況が存在します。

実は21世紀に入り、欧米では日本研究者が減少の一途を辿っています。人文学全体への予算が削減される中、欧州で人気の高い中国文化に押され、日本研究が縮小の対象になりやすいのです。こうした現状にSNSでは「日本の強みである文化発信が弱まるのは寂しい」「国を挙げた支援が必要だ」といった、危機感を共有する意見が数多く寄せられています。

歴博の久留島浩館長は、海外での次世代研究者育成が急務であると指摘します。現地での共同展示は、展示手法やテーマ設定を伝える絶好の教育機会になります。私は、日本文化の魅力を世界に繋ぐために、こうした現地主導の育成は極めて有効な戦略だと確信しています。ただ資料を守るだけでなく、現地の専門家を育てることが未来のファンを増やします。

同様の試みはスイスでも展開されています。2016年からチューリヒ大学と連携し、学生たちが伊万里焼や薩摩焼の調査実習に挑戦してきました。アリアナ美術館では、日本から赴いた専門家の指導を受けながら、繊細な陶磁器の搬送や記録作成を体験しており、2020年中には展覧会も予定されています。実践的なカリキュラムは若手育成に大きな効果を生むはずです。

海外の日本研究体制を維持することは、日本自身の文化研究にとっても死活問題と言えます。例えばオランダ商館員らが残した19世紀前半の大工道具一式など、国内には存在しない超一級の資料が海外に保管されているケースが多いためです。これらを適切に保存・継承してもらうためにも、海外の研究基盤を弱体化させるわけにはいきません。

「日本研究はもはや国内だけでは完結しない」という久留島館長の言葉通り、グローバル化は必然の流れです。世界中に散らばる資料を求めて研究者が海を渡ることで、新たな視点も生まれます。英国のダラム大学では2018年、学生たちが明治維新による皇族の衣装変化を斬新な切り口で展示し、日本の専門家を驚かせるという素晴らしい成果も生まれました。

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