近年、健康志向の高まりとともに、食を通じた体調管理、いわゆる「腸活」が大きな注目を集めています。特に、私たちの食卓に欠かせないコメが、日本人の腸内環境と非常に相性が良いという研究結果が、消費者の間で新たな関心を生み出しているようです。調査会社のインテージが公表したデータによると、サプリメントなどを除く健康をサポートする食品、ヘルスケアフーズの市場規模は、2018年度に1兆1382億円に達しており、調査を開始した2016年度と比べて11%も増加していることが分かりました。この市場成長を牽引しているのは、従来の美容意識の高い女性だけでなく、糖尿病などの生活習慣病を予防したいと考える男性層の消費が目立っているといいます。
このブームは、健康維持に対する意識が性別や年齢を超えて浸透している証拠でしょう。コメといえば、一時期は糖質制限ダイエットの流行により、消費者の間で「避けられがち」な食材となっていました。実際、国内のコメ需要は近年、年間8万〜10万トンというペースで減少しており、大手コメ卸からは「糖質を制限したいニーズの高まりで減少幅が大きくなってきた」という声が聞かれていました。しかし、この「腸活」という新しい健康トレンドは、これまでコメ消費にとって逆風だった状況を一変させる可能性を秘めているのです。
私たちが主食とするコメをはじめとする炭水化物は、体内で分解されてブドウ糖に変わり、エネルギー源となる栄養素です。しかし、その一部は消化されずに大腸に届き、食物繊維と同じような働きをして、腸内の善玉菌の餌になることが分かっています。このコメに含まれる成分と、日本人の腸内に定着している菌群との相乗効果によって、腸内環境を整える「腸活」に繋がりやすいという点が、大きな魅力として再評価されているのでしょう。特にSNS上では、「お米を意識して食べるようにしたらお通じが良くなった」「無理な糖質制限より、バランスの良い食事の重要性を再認識した」といった、コメ食を見直すポジティブな反響が散見されています。
この「腸活ブーム」が、長らく消費の減少に悩んできたコメ市場に、どれほどの恩恵をもたらすのかは注目すべきポイントでしょう。小売店側もこの流れに期待を寄せており、東京都調布市にある山田屋本店のように、「個性的な商品、例えば玄米や雑穀米など、健康志向に特化したコメが増えれば、新たな消費の裾野を広げやすい」といった前向きな見方を示しています。これまで単なる主食として消費されてきたコメが、「健康をサポートするヘルスケアフーズ」という新しい価値をまとうことで、日本人の食生活と健康に再び深く貢献していくことを期待しています。
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