日本銀行が2020年1月9日に発表した「生活意識に関するアンケート調査(2019年12月調査)」の結果が、現在大きな注目を集めています。同年10月に実施された消費税率10%への引き上げ以降、実際に「支出を控えている」と答えた人は33.0%に留まりました。2014年の前回増税時には60.0%もの人々が買い控えを選択していたため、今回はその割合がほぼ半減した計算になります。この極端な行動変化の背景には、政府が打ち出した巧みな負担軽減策が深く関係していると考えられます。
支出がそれほど落ち込まなかった最大の要因として、複数税率の導入や、電子マネー等を用いた際のポイント還元制度が挙げられるでしょう。いわゆる「軽減税率」とは、生活必需品などの特定の品目に対して、増税後も従来の8%の税率を維持する仕組みのことです。また「キャッシュレス決済」は、現金を使わずにクレジットカードやスマートフォンアプリなどで決済を行う手法を指します。これらのお得なキャンペーンが消費者の心理的な負担を和らげ、日常の買い物行動を大きく変えずに済んだケースが多かったようです。
SNSをはじめとするインターネット上でも、この結果に対して多くのユーザーがリアルな声を寄せています。「キャッシュレス還元の恩恵が大きくて、実質的な増税感をあまり感じていない」といったポジティブな意見が目立ちました。その一方で、「還元の手続きや仕組みが複雑すぎて、高齢の家族が恩恵を受けられていない」「目先のポイントに惑わされているだけで、実際には家計がじわじわと苦しくなっている」というように、制度の格差や将来への不安を吐露するシビアな書き込みも散見されます。
しかし、楽観視できないデータも同時に浮き彫りとなりました。人々の景気に対する実感を数値化した「景況感判断指数(DI)」はマイナス29.8を記録し、なんと6四半期(1年半)連続で悪化しているのです。これは、現在の日本の景気が「悪い」と感じている人が「良い」と感じている人を大幅に上回っている状態を意味します。買い控えこそ急激には起きなかったものの、国民が体感している経済の冷え込みは深刻であり、決して生活に余裕が生まれたわけではないという現実を示しているのではないでしょうか。
一見すると消費の崩壊を防げたように思えますが、編集部としては今後の動向に強い危機感を抱いています。今回のポイント還元事業は2020年6月までの期間限定措置であり、制度が終了した瞬間に本当の消費増税の冷や水が家計を襲う可能性が極めて高いからです。目先の対策による麻酔が切れたとき、日本経済が本当の正念場を迎えるのは間違いありません。政府には、一時的な引き止め策に終始するのではなく、国民が将来に希望を持てるような、本質的な賃上げや雇用環境の改善を伴う景気刺激策を強く求めたいところです。
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