2020年の幕開けとともに、今後の経済を占う主要30業種の天気図が発表されました。なかでも注目が集まる電子部品や半導体セクターは、次世代通信規格である「5G」の登場によって大きな転換期を迎えています。超高速・大容量の通信を可能にするこの新技術は、昨年の2019年10月から2019年12月期に引き続き、市場を強力に引っ張る牽引役として期待されているのです。SNS上でも「いよいよ5Gの時代が本格化する」と、未来への期待を寄せる声が数多く見られます。
スマートフォンの世界的な販売台数自体は、現在頭打ちの傾向にあると言わざるを得ません。しかし、端末が5G対応へと進化することにより、機器1台あたりに組み込まれる部品の数が劇的に増加します。これにより、基盤を支える電子部品メーカーにとっては新たな商機が到来していると言えるでしょう。最先端の技術が詰まった高付加価値なパーツへの需要は、今後も底堅く推移していくことが予想されます。
その一方で、自動車業界や工場などで使われる産業機器向けの受注については、依然として厳しい低迷が続いています。さらに、世界経済に暗い影を落としているアメリカと中国の貿易摩擦問題も、現時点では明確な収束の兆しが見えていません。こうした背景から、電子部品市場が誰もが実感できるレベルで本格的に息を吹き返すのは、2020年4月以降に持ち越される見込みです。
一方で、半導体セクターに目を向けると、こちらは業績が最も落ち込んだ状態から抜け出す「底入れ感」が日増しに強まっています。世界各国で5Gの実用化が急速に進むなか、複雑なデータ処理を担うロジック半導体の需要が大きく底上げされる見通しだからです。スマートフォンの頭脳とも言えるこの半導体への期待値は、市場でも非常に高く維持されています。
また、半導体の製造を専門に請け負う受託企業の間では、回路を限界まで細かくして性能を高める「微細化」と呼ばれる技術への投資が、現在も途切れることなく続いています。専門的な用語ですが、これはチップの省電力化と高性能化を同時に実現するために不可欠なプロセスです。各社は未来の覇権を握るため、最先端の製造設備へ積極的に資金を投じています。
データを長期間保存する役割を持つNAND型フラッシュメモリーの分野では、たまっていた在庫の整理が順調に進み始めました。今後は、これまで停滞していた巨大なデータセンター向けの設備投資がどこまで回復するかが、市場全体の価格や景気を左右する最大の鍵となるでしょう。ネット上の有識者の間でも、この投資再開のタイミングに関する議論が白熱しています。
私自身の見解といたしましては、現在の足踏み状態は一時的な「嵐の前の静けさ」であると捉えています。米中対立という巨大な政治的リスクに阻まれてはいるものの、5Gの普及や産業のデジタル化という世界的な潮流そのものを止めることは不可能です。足元の2020年1〜3月期は耐え忍ぶ時期となりますが、春以降の劇的な V字回復に向けて、今は力を蓄える重要な局面と言えます。
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