世界経済の動向を左右する重要な指標として、多くのビジネスパーソンが注目する産業景気予測が、2020年1月4日に発表されました。今回の予測では、主要30業種における「業界天気図」が示されており、特に製造業の基盤となる鉄鋼・非鉄金属業界の先行きに関心が集まっています。業界天気図とは、各分野の生産量や販売実績、工場の操業率、そして企業の収益性などを担当記者が総合的に分析し、天気に例えて評価したものです。
現在の鉄鋼・非鉄業界は、まさに分厚い雲に覆われた「曇り」から「小雨」へと向かう厳しい局面に立たされています。その最大の要因となっているのが、長期化する米中貿易戦争とそれに伴う中国の経済減速です。この影響により、自動車や産業機械といった主要分野で使われる鋼材の需要が世界規模で落ち込んでいます。SNS上でも「自動車の減産ニュースが増えていたので納得の予測」「今後の製造業全体の冷え込みが心配」といった、不安の声が広がっていました。
市場では鋼材の取引価格がようやく底を打ったという見方も出ていますが、実需がかつての水準まで回復するには、かなりの時間を要するでしょう。これに対して私の視点では、現在の不況は一時的な波ではなく、世界的なサプライチェーン(部品の調達から製品の消費までの一連の流れ)の再構築に伴う構造的な変化であると捉えています。各企業はただ耐えるだけでなく、新たな需要を喚起する戦略へ舵を切るべき局面にあります。
さらに状況を複雑にしているのが、中国の鉄鋼メーカーが依然として高い水準で生産を続けている点です。供給過剰の状態が続いている一方で、鉄の原料となる鉄鉱石などの原材料価格は高止まりしたままとなっています。非鉄金属の分野に目を向けても、電気製品や電線に使われる銅、軽量化素材として重宝されるアルミニウムの需要減少が続いており、苦境から抜け出すための糸口はまだ見つかっていません。
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