2020年の幕開けとともに、投資家の間で今年の景気動向への関心が高まっています。十二支のなかでも子(ね)年は「繁栄の年」という相場格言があり、市場には縁起の良い期待感が漂っているようです。日本経済新聞社が2019年12月に市場関係者73人を対象に実施したアンケート調査によると、多くの専門家が「年末に向けた株高」という明るい見通しを示していることが分かりました。SNS上でも「オリンピックイヤーの株価がどう動くか楽しみ」「年末に向けて仕込み時を探りたい」といった、前向きな声が多数寄せられています。
アンケート結果を詳しく見ていくと、日経平均株価の予想高値は平均で2万5659円、安値の平均は2万1677円となりました。なかには最高値として2万8000円を予見する強気な意見もあり、新春にふさわしい盛り上がりを見せています。一方で、最安値の予想は1万4000円と、専門家の間でも見解に大きな開きがあるようです。ここから浮かび上がる2020年のシナリオは、年初に安値をつけた後に乱高下を繰り返し、12月の年末に向けて大きく上昇していくというドラマチックな展開でしょう。
もちろん、バラ色の未来ばかりではありません。2019年の秋以降は米中の貿易摩擦に対する警戒感が和らぎ、世界景気の後退懸念は薄れました。しかし、アメリカ市場で主要株価指数が連日で最高値を更新した反動から、2020年の1月から3月にかけては一時的な「調整」が入ると見られています。ここで言う調整とは、上昇しすぎた株価が適正な水準へと一時的に値下がりすることを指します。トランプ大統領の動向を巡る不確実性や、中国景気の減速が下落要因として警戒されているのも事実です。
それでも、多くの市場関係者が11月のアメリカ大統領選挙を経た「12月」に最高値をつくると予想しています。これは、政治的な不透明感が解消されることに加え、これまでの利下げ効果が浸透するためです。さらに、半導体などの需要の波を示す「ITサイクル」が底打ちすることへの期待も背景にあります。これらが起爆剤となり、世界景気の回復に敏感な日本株を押し上げる原動力になるでしょう。世界的な経済の波を捉えることが、2020年の投資において極めて重要な鍵になりそうです。
企業の業績に対する期待も非常に強く、日本企業の2020年度の業績が「増益」になると踏んでいる関係者は実に8割を超えています。この業績拡大を牽引すると期待されているのが、次世代通信規格である「5G」の普及や、人工知能である「AI」を活用した設備投資の拡大です。5Gとは従来の通信を遥かに凌駕する超高速・大容量のネットワーク技術であり、あらゆる産業に革命をもたらすとされています。こうした最新技術が、停滞しがちな日本経済に新しい風を吹き込んでくれるに違いありません。
株式市場で特に有望視されているセクター(業種分類)は、半導体や電子部品を含む「電気機器」が首位となり、僅差で「情報・通信」が続いています。さらに、東京オリンピック関連の需要が一巡した後も、災害対策などの国土強靱化の恩恵を受ける「建設」に注目が集まっている点も見逃せません。為替相場については、日米の金融政策に大きな動きがないとみられることから、1ドル=104円から113円程度の狭い範囲での推移にとどまり、膠着状態が続くという見方が大勢を占めています。
2020年の相場で最大の買い手として期待されているのは、海外の「外国人投資家」です。世界経済の持ち直しやアメリカの株高によって投資余力が増した彼らが、日本株を大きく買い戻すと予測されています。一方で、売り手としては利益確定を狙う個人投資家や銀行が挙げられており、この需給バランスが株価を左右することになるでしょう。数々の政治イベントを控え、波乱も含みながら幕を開ける令和初の子年相場ですが、日本の産業界が持つ底力が試される、まさに実り多き「繁栄の1年」になることを切に願います。
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