私たちは日常の中で、お正月には神社へ参拝し、節分になれば豆をまいて福を呼び込みます。こうした当たり前のように行われている年中行事の背景には、実は日本独自のディープな信仰の世界が広がっているのをご存じでしょうか。そんな私たちの暮らしに根ざした信仰の謎を解き明かしてくれる一冊が、2020年01月04日に紹介され、いまネット上でも大きな注目を集めています。それが、松尾恒一氏の著書『日本の民俗宗教』(ちくま新書・880円)です。
本書は、島国である日本が歩んできたユニークな宗教の歴史を分かりやすく紐解いた名著として、SNSを中心に「身近な風習の理由がすっきり分かった」「地域の祭りの見方がガラリと変わる」といった熱い反響を呼んでいます。私たちの国は、古来の「神道」だけでなく、海外から伝わった「仏教」や「キリスト教」など、多種多様な信仰を受け入れてきました。それらが時代を経て複雑に混ざり合い、独自の進化を遂げたものが「民俗宗教」や「民間信仰」と呼ばれています。
専門用語であるこの「民俗宗教」とは、特定の開祖や教典を持たず、地域の共同体の中で自然と育まれてきた生活に密着した信仰のことです。本書を読むと、人形浄瑠璃のような伝統芸能から日々の衣食住に至るまで、あらゆる文化がこの信仰と深く結びついている事実に驚かされるでしょう。地域の社会や風習がどのように作られたのか、そのプロセスが実に見事に描かれています。
編集部としては、現代人が忘れかけている「目に見えないものへの畏敬の念」を思い出させてくれる点に、本書の大きな価値があると感じます。科学が発達した現代だからこそ、先人たちが年中行事に込めた願いや知恵を学ぶことは、私たちの心を豊かにしてくれるに違いありません。単なる歴史の解説書にとどまらず、地域文化の魅力を再発見する旅へと誘ってくれる素晴らしいガイドブックといえるでしょう。
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