政府は東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けたロードマップを、約2年ぶりに見直しました。今回の改定で最大の注目点となったのは、事故処理において最も困難とされる「溶融燃料(デブリ)」の回収作業を、まずは2号機から2021年に開始すると決定した点です。SNS上では「ようやく具体的な一歩が見えてきた」と期待する声が上がる一方で、「本当に安全に回収できるのか」という不安や、作業の先行きを懸念する呟きが数多く見られ、世間の関心の高さがうかがえます。
ここでいうデブリとは、2011年3月11日の東日本大震災による津波で冷却機能を失った核燃料が、自らの熱で溶け落ちて周囲の構造物と混ざり合い、冷えて固まったもののことです。当時の1号機から3号機では、炉心溶融(メルトダウン)という深刻な事態に陥りました。高温になった燃料が原子炉の底を突き破り、現在は推定で約900トンものデブリが格納容器などに留まっています。近づくだけで人体に致命的な影響を与えるほど強い放射線を放つため、処理は極めて困難です。
さらに、このデブリは再び核分裂の連鎖反応を起こす「臨界」のリスクもゼロではないため、確実に取り除いて安全性を高めることが廃炉の最重要課題とされています。今回2号機が最初の対象に選ばれた理由は、これまでのロボット調査が順調に進んでおり、2019年2月には堆積物に直接触れることにも成功しているからです。他号機に比べて周囲の放射線量が低く、作業員の被曝を抑えられる点や、作業ルートを確保しやすいことも決め手となりました。
国際機関の厳しい視線と相次ぐトラブルが投げかける影
しかし、当初は2019年度中に予定されていた微量のデブリ採取は見送られ、2021年まで延期される形となりました。これには、核兵器への転用を防ぐためにウランやプルトニウムなどの核物質を厳格に監視する国際機関、国際原子力機関(IAEA)からの要請が関係しています。たとえごくわずかな試料であっても、厳密に量を管理して報告する仕組みづくりに時間を要するため、経済産業省は2021年の本格的な取り出し作業と同時に採取を行う方針へと切り替えました。
当局は、この遅れが全体のスケジュールに影響することはないと説明しています。ですが、遠隔操作を伴う現場の作業では、すでに深刻なトラブルが頻発しているのが現状です。例えば、2019年4月に始まった3号機のプールからの燃料取り出しは、機器の不具合によって一時中断を余儀なくされました。また、同年8月に着手した高さ120メートルの排気筒の解体作業もロボットのトラブルが相次ぎ、終了予定は2020年5月へとずれ込んでいます。
国は事故後30年から40年とする廃炉の完了時期を維持しているものの、デブリ回収がいつ終わるのかという最終的な期限は明示していません。これほどトラブルが続くと、さらに難易度が高いデブリの取り出しがスケジュール通りに進むのか、編集部としても疑問を抱かざるを得ないのが本音です。国や東電は、目先の計画に固執することなく、現場の安全と透明性を最優先にした確実な進捗を、国民や国際社会に示し続ける責任があるでしょう。
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