医療の世界に、非常に明るいニュースが飛び込んできました。大塚ホールディングスの傘下にある大鵬薬品工業が、イギリスのアステックス社と共に、アメリカの製薬大手であるメルク社とがん領域における革新的な戦略的提携を結んだことを2020年1月14日に発表したのです。がん治療の歴史を大きく塗り替えるかもしれないこの発表は、医療関係者だけでなく、多くの患者さんにとっても希望の光となるに違いありません。
今回の契約は、開発中の「低分子阻害剤」に特化した、全世界におよぶ研究提携と独占的なライセンス契約となっています。ここで注目すべき専門用語が、この「低分子阻害剤」です。これは病気の原因となるタンパク質の働きをピンポイントで抑え込む、非常に分子のサイズが小さいお薬のことを指します。細胞の中に入り込みやすいため、がん細胞を効率よく狙い撃ちできるのが大きな強みなのです。
この壮大なプロジェクトにおいて、大鵬薬品とアステックス社がメルク社から受け取る対価は、なんと最大で約25億ドル、日本円にして約2700億円という破格の規模に達します。この金額の大きさからも、今回の共同研究に対する期待度の高さがうかがえるでしょう。インターネット上のSNSでも「がん治療が次のステージに進むかもしれない」「一刻も早い実用化を願う」といった熱い反響が相次いでいます。
難攻不落のがん遺伝子「KRAS」に立ち向かう最新アプローチ
今回の共同研究でターゲットとなるのは、がん細胞において最も高い頻度で変異が見られる遺伝子のひとつ、「KRAS」などです。この「KRAS遺伝子」とは、細胞の増殖をコントロールするスイッチのような役割を果たしています。しかし、これが異常を起こすとブレーキが利かなくなり、がん細胞が暴走してしまうのです。専門家の間でも、非常に厄介な存在として知られてきました。
実際にこのKRASの変異は、治療が難しいとされる膵臓がんの約90%、さらに非小細胞肺がんの約20%で発生していると推測されています。これほど高い割合で関わっている遺伝子だからこそ、ここを抑える薬剤の開発は、多くのがん患者さんを救う鍵になるのです。これまでアプローチが難しかったこの領域に、日米英のトップランナーたちが手を取り合って挑む姿には、胸が熱くなります。
今回の提携により、3社は研究プログラムにおける前臨床段階の候補化合物などを共有し、開発を加速させます。その対価として、まずは契約一時金5000万ドル(約54億円)が支払われる仕組みです。さらに、開発の進み具合や国からの承認、その後の販売実績などの達成度合いに応じて、先述した最大約2700億円や、売上に応じたロイヤルティーが段階的に支払われることになっています。
資金力のある米メルク社が研究開発費を負担して世界中での商業化を担い、大鵬薬品は日本での共同商業化や東南アジアの一部でのプロモーション権利を持ちます。日本の技術が世界の巨人と結びつき、世界規模で命を救う仕組みが整うのは素晴らしいことです。単なるビジネスを超え、人類ががんに打ち勝つための大きな一歩として、この挑戦の行く末を私たちは温かく見守り、応援していくべきでしょう。
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