最先端のモノづくりを牽引する安川電機の動向に、いま多くのビジネスパーソンから熱い視線が注がれています。世界経済の動向が注目される2020年01月15日現在、製造業の現場では次なる成長へのカウントダウンが始まっているようです。特に中国市場における春節明けの設備投資の動きは、今後の景気を占う試金石となるに違いありません。ネット上でも「今後の製造業のトレンドが分かる」「5Gや半導体の動きから目が離せない」といった期待の声が続々と上がっています。
こうした状況の中で特に注目したいのが、次世代の高速通信規格である「5G」や、高精細な映像を映し出す「有機EL」を搭載したスマートフォン、そして根強い需要を誇るパソコンに関連した半導体分野です。さらに自動車産業においては、車体の軽量化などに伴う素材の変化に対応するため、レーザー加工の技術が切断工程だけでなく、溶接工程へと応用範囲を広げる兆しを見せています。技術のパラダイムシフトを捉えることが、これからの製造業の勝敗を分ける鍵になるでしょう。
このような市場の変革期において、安川電機の小笠原浩社長が満を持して打ち出した2020年のテーマが「YDX(安川デジタルトランスフォーメーション)」の本格始動です。これは、AIやIoTといった先端デジタル技術を駆使して、企業の仕組みそのものを劇的に変革していく試みを指します。同社はこれをまず自社内で徹底的に実践し、経営情報をリアルタイムで分析できる基盤を構築してきました。すでに世界中のグループ企業の連結決算を、わずか1週間程度で把握できる手応えを感じているそうです。
データを駆使したスピーディーな経営判断こそが、不確実性の高い現代ビジネスを生き抜く強力な武器になるはずです。小笠原社長自らが最高情報責任者を兼務して推進するこの取り組みは、単なる効率化の枠を超え、企業の競争力を根底から高める画期的な変革だと言えます。実際にSNS上でも「これほどの規模の企業が、1週間で連結決算を把握できるようになるのは驚異的だ」と、そのスピード感溢れるデータ経営の仕組みに対して驚きと称賛のコメントが寄せられています。
進化する現場主義と2021年に向けた巨大研究開発拠点の全貌
安川電機のデジタル改革は、社内のシステム構築だけに留まりません。2020年03月には子会社である安川エンジニアリングを吸収合併することが予定されており、サービス部門を一体化させた強固な体制が完成します。さらに、北九州市にある本社を大幅に拡張し、2021年03月の稼働を目指して新たな研究開発の心臓部となる「安川テクノロジーセンタ」の建設を進めています。この新施設こそが、同社のモノづくりの知恵を融合させる一大拠点となるでしょう。
巨大な4階建ての施設は、各階の床面積が最大で1万平方メートル近くにも及ぶ圧倒的なスケールを誇ります。壁を取り払って技術者同士が自由に意見を交わせる設計開発エリアや、大学やビジネスパートナーと最先端の知見を共有する共同研究スペースが設けられる予定です。さらに、建物の下層階には試作や生産のラインが配置され、理論だけでなく実際のカタチにするプロセスがその場で見える化されます。知恵と実践が同じ場所で交わることで、イノベーションの加速が期待されます。
興味深いのは、同社がこれほどのデジタル化を推進しながらも、社員に対して「改めて現場へ足を運べ」と強く発信している点です。デジタル化の本質は、パソコンの画面上でメールやデータを機械的にやり取りして仕事を終わらせることではありません。編集部としても、本当の価値は顧客と直接向き合い、泥臭く現場の課題を理解した上でデータを利用することにあると考えます。安川電機が目指すのは、血の通った現場主義とデジタル技術が融合した、新時代の製造業の姿なのです。
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