世界を揺るがした欧州難民危機から2020年で5年が経過しようとしています。しかし、戦乱などで故郷を追われた人々の苦難は終わるどころか、ますます深刻化しているのが現状です。2019年6月時点における世界の難民・避難民の数は約7000万人に達し、2015年末に比べて1割も増加しました。このうち正式に難民認定を受けて国外で暮らす人々は約2500万人に上ります。かつては人道的な観点から寛容な姿勢を示していた受け入れ国側も、長期化する経済的負担や社会不安から、移動の制限や強制送還へと舵を切り始めています。
ネット上では「人権擁護を叫ぶだけでは国が持たないのも事実」「行き場のない人々が不憫すぎる」といった、人道支援の限界と現実の狭間で揺れる複雑な声が数多く飛び交っています。世界最多の難民を受け入れるトルコでは、2019年半ば以降、経済低迷を背景に国内の風当たりが強まりました。エルドアン大統領は2019年12月の国際フォーラムで「近いうちに100万人がシリアに帰還できる」と豪語し、シリア国境沿いに軍事介入で確保した「安全地帯」へ難民を移住させる計画を進めています。すでに37万人が戻ったとされています。
アジアや南米でも深刻化する難民問題と排除の動き
しかし、滞在難民の多くは別地域の出身であり、アサド政権による迫害の恐れから自発的な移住を望んでいるかは不透明です。行き場を失った人々が再び欧州を目指したことで、ギリシャへの渡航者が急増しました。この流入加速は欧州諸国で「ゼノフォビア(外国人嫌悪)」や反移民感情を再燃させ、極右政党の台頭を後押ししています。この現状は、かつて大戦を引き起こしたナショナリズムという「古い悪魔」の復活を予感させ、国際社会に強い危機感をもたらしているといえるでしょう。排除の論理だけでは、根本的な解決には至りません。
危機は中東に留まらず、アジアのバングラデシュでも約90万人のロヒンギャ難民が世界最大のキャンプで暮らしています。2017年にミャンマー軍の掃討作戦から逃れてきた人々ですが、治安悪化を懸念するバングラデシュ政府は2019年9月から通信規制を開始しました。また、南米ベネズエラでも経済崩壊により国民の14%にあたる約460万人が流出し、周辺国で深刻な摩擦を生んでいます。編集部としては、難民を単なる「負担」として排除するのではなく、国際社会全体で責任を分散し、平和的な定住を支援する枠組みの再構築が急務であると考えます。
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