司法の場が再び、稼働が認められていた原子力発電所に対してストップをかける判断を下しました。広島高等裁判所は、四国電力が運用する伊方原発3号機について、運転を認めないとする仮処分の決定を下したのです。
この決定は、原発周辺における活断層や火山の危険性評価に、重大な疑問符を突き付ける形となりました。東日本大震災後の教訓から作られた厳格な新基準をクリアしたはずの審査ですが、その妥当性が揺らいでいます。
SNS上では、安全第一を掲げてこの司法判断を大いに歓迎する声が目立つ一方で、電力供給の安定性や経済的な損失を懸念する意見も飛び交っています。人々の間で原発への信頼感が、激しく揺れ動いている様子が窺えるでしょう。
活断層の過小評価に司法から厳しい指摘
今回の裁判において、大きな争点の一つとなったのが地震を引き起こす活断層の存在です。広島高等裁判所は、原発のすぐ近くに活断層が存在する可能性を完全に否定しきれないという立場を示しました。
原発からわずか2キロメートル以内という至近距離にある恐れがあるにもかかわらず、十分な調査が行われないまま国へ申請されたと認定されています。そのため、国の審査プロセスにも重大なミスがあったと批判されました。
一方で四国電力側は、海の底を音波で調べる海上音波探査(かいじょうおんぱたんさ)を事前に行い、安全性は確認済みであると主張しています。徹底した調査を行ってきたという自信を見せ、この判断に猛反発している状況です。
阿蘇山の噴火リスクと国の姿勢への疑問
もう一つの大きな懸念材料が、はるか遠方にある阿蘇山の噴火に伴う火山リスクの評価です。新基準では、原発から160キロメートル圏内にある過去の火山活動の影響を、細かく見積もることが事業者に義務付けられています。
裁判所は、過去に起きた大規模な噴火のデータに注目し、四国電力が想定していた火山灰などの噴出量が実際よりも過小評価であると判断しました。その規模は、想定の約3倍から5倍に達する可能性が指摘されています。
このように不十分な予測をそのまま認めてしまった国の原子力規制委員会の判断に対し、裁判所は論理的ではないと切り捨てました。基準の甘さを露呈した形であり、今後の国のエネルギー政策に冷や水を浴びせる事態です。
今後の経済的損失と原発のあり方
四国電力はすでに1号機と2号機の廃炉を決めており、残された3号機まで動かせないとなると、その経営基盤に甚大な痛手を負う事になります。火力発電を増やすための燃料費だけで、毎月35億円もの負担が増える見込みです。
経済産業省は世界最高水準の安全基準を満たした原発は再稼働させる方針を崩していませんが、今回の司法判断は重く受け止めるべきでしょう。経済性よりも、国民の命を守る安全性の確保こそが最優先されるべきだと私は考えます。
九州の他の原発でも同様の火山リスクを抱えて訴訟が続いており、今回の事例がドミノ倒しのように影響を広げるかもしれません。安易な再稼働に頼るのではなく、真に持続可能なクリーンエネルギーへの転換を急ぐべきでしょう。
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