2019年6月12日、原子力規制委員会は、原子力発電所のテロ対策施設の完成が設置期限に間に合わない場合、その期限の翌日には原子炉を停止するよう電力会社に命じるという、極めて厳格な方針を正式決定しました。この決定は、電力会社に対し、施設の完成遅延が運転停止に直結する厳しい現実を突きつけるものです。規制委員会は、東京電力福島第一原発事故の深刻な反省を踏まえ、原発の新規制基準に基づいて設置が義務付けられたテロ対策施設の重要性を何よりも重視していることが伺えます。
この決定により、電力会社は、期限ギリギリでの工事ではなく、期限の数日前から原子炉の停止に向けた作業を始めざるを得なくなりました。原子炉の停止作業は、安全に細心の注意を払いながら行うため、即座にできるものではないからです。規制委員会はすでに2019年4月、期限内の施設未完成の場合、原則として運転停止を命じる方針を打ち出していましたが、今回、その手続きの詳細が明確化された形です。
具体的には、まず期限日の6週間前までにテロ対策施設が完成していない原発を持つ電力会社に対して、停止命令を出す意向が伝えられます。これは行政手続法に基づく弁明の機会を与えるためです。この弁明を経てもなお、期限日の1週間前までに完成が確認できない場合は、原子炉等規制法に基づき運転停止命令が発動されることになります。この一連の手続きは、原子力の安全を確保するための法的な措置であり、決して譲れない一線です。
テロ対策施設は、原発の工事計画を規制委員会が認可した日から5年以内に完成させることが義務付けられています。この期限は原発ごとに異なるため、個々の原発の状況を把握することが重要です。この期限に間に合わない原発は、「基準不適合」と見なされ、運転を続けることが許されません。これは、単なる工期の遅れではなく、安全基準を満たしていないという重大な判断を意味するものです。
現時点で、関西電力、四国電力、九州電力の3社が、5原発10基についてテロ対策施設の完成が遅れる見通しであることを表明しています。特に、九州電力の川内原発1号機(鹿児島県)は、2020年3月17日と最も期限が近い状況にあり、今後、厳しいスケジュールの中で工事を進める必要があります。SNS上でも、「安全対策を軽視するな」「期限は絶対守るべき」といった厳しくも当然の声が多く上がっており、国民の安全への関心と監視の目は非常に高まっています。
編集者としての意見ですが、この規制委員会の厳格な姿勢は極めて妥当であると言えるでしょう。テロ対策施設は、過酷な事故を経験した日本にとって、原発を再稼働させるための大前提であり、国民の信頼を担保する最後の砦です。電力会社は、コストや工期の都合を理由にするのではなく、安全を最優先し、期限内に確実に施設を完成させるという強い決意を示すべきです。この決定は、日本の原子力安全文化を世界標準へと引き上げるための重要な一歩となるでしょう。
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