大手ワインメーカーのメルシャンは2020年1月15日、本年の事業方針説明会を東京都千代田区で開催しました。そこで明かされた驚きの戦略が、有機栽培のブドウを100%使用した「オーガニックワイン」の取扱量を、前年比で一気に3倍へと引き上げる野心的な目標です。
近年、地球環境への優しさを重視して商品を選ぶ「エシカル消費」というライフスタイルが注目を集めています。これは地域の活性化や環境保護に繋がる買い物を指す言葉です。農薬を極力控える有機栽培は土壌への負担が少なく、この価値観に深くマッチしています。
SNS上でも「これからはお酒も環境に配慮して選びたい」「オーガニックなら安心して美味しく飲めそう」といった好意的な声が多数寄せられています。持続可能な社会への関心が高い20代から30代の若年層を中心に、このエコなトレンドは急速に浸透するでしょう。
現在、メルシャンが抱える最大の壁は若者の「ワイン離れ」にあります。同社の調査によると、年間で1回以上ワインを買う人の割合は男女ともに60代が最も多く、年齢が若くなるにつれて購入量も減少するという深刻なデータが浮き彫りになりました。
私個人の視点としても、従来のワインが持つ「少し敷居が高い」というイメージが、若者を遠ざける要因になっていると感じます。だからこそ、環境配慮という現代的なメッセージを商品に込めるアプローチは、新たなファン層を開拓する上で非常に有意義な挑戦です。
環境大国のトレンドを日本へ!シードルでも狙う新市場
環境意識の高いヨーロッパの主要国では、すでにワイン市場の2割から3割をオーガニック製品が占めています。一方、日本国内におけるシェアは現状ではまだ1割に達していません。それだけに、今後の市場の伸びしろは計り知れないといえます。
メルシャンは2020年の全体販売目標として、前年比1%増の674万ケースを掲げました。長林道生社長は説明会にて、若い世代の需要を喚起するために、オーガニックワインと並ぶもう一つの切り札として「シードル」の強化を宣言しています。
シードルとは、一般的にリンゴを原料として造られる爽快な発泡性のお酒のことです。フルーティーで飲みやすいため、普段あまりアルコールに馴染みのない若者や女性でも、ジュース感覚でカジュアルに楽しめるのが大きな魅力となっています。
2019年3月に登場した第1弾は8万ケースを売り上げる好調ぶりを見せました。さらに同社は、リンゴ以外の果実を使った展開も進めており、限定品だったグレープフルーツ味を2020年2月25日から通年販売へと切り替え、14万ケースの達成を狙います。
若者がお酒に求めるのは、単なる味だけでなく「共感」や「気軽さ」です。メルシャンが挑むエシカルなワインと親しみやすいシードルの二段構えの戦略は、停滞する国内市場に爽やかな新しい風を吹き込んでくれるに違いありません。
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