ラベルを脱ぎ捨てた「無印」が令和を制す?エゴからエコへ、サステナブル消費の最前線

自宅の冷蔵庫を開けると、そこにはラベルが一切貼られていないミネラルウォーターが並んでいます。飲み終わった後にわざわざラベルを剥がす手間を省いた、まるで最初から存在しなかったかのような潔い姿に驚かされるかもしれません。これは日本生活協同組合連合会が2019年06月から展開している「ラベルのない水(あずみ野)」という商品です。利便性と環境保護を両立させたこの試みは、令和の消費スタイルを象徴する大きな転換点となるでしょう。

この「ラベルレス」の動きは、プラスチックの使用量を劇的に削減することを目指しています。過去の出荷実績に基づくと、年間で10トン近いプラスチックの削減に貢献する計算です。アサヒ飲料も2018年からインターネット通販限定で、同様にラベルのない水やお茶の販売をスタートさせました。SNS上では「ゴミ捨てが格段に楽になる」「究極のミニマリズムだ」といったポジティブな反応が相次いでおり、合理性を求める現代人の心を見事に掴んでいます。

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ブランドの「エゴ」から地球への「エコ」へ

これまでの企業戦略は、派手な広告や目立つラベルによって他社と差別化を図る「エゴ」の側面が強くありました。しかし、現在は自社のブランド名を大々的にアピールすることよりも、環境負荷を抑える「エコ」を優先する競争へとシフトしています。かつて「エシカル消費(倫理的消費)」という言葉は、デザイン性やブランド力に負けてしまいがちでした。ところが、環境に配慮することが「格好いい」という価値観が、今まさに定着しつつあるのです。

若者の間では、あえて極端にシンプルで普通のスタイルを好む「ノームコア」という現象が定着しています。他人と同じ服であることを気にせず、ユニクロや無印良品のような普遍的な美しさを選ぶ人々が増えました。デフレや不況を知る30代以下の世代は、単なる節約にとどまらず、サステナビリティー(持続可能性)を当たり前の前提条件として捉えています。企業が利益だけを追う時代は終わり、地球との共生がビジネスの入場門となっていると言えるでしょう。

私個人の視点としても、この変化は「自分勝手な豊かさ」からの卒業だと感じます。ラベルがないことは、企業が情報の透明性と品質に自信を持っている証拠でもあります。スターバックスがプラスチック製ストローを廃止したように、これからの企業は素材選びという「川上」の工程から、どれだけ誠実に環境と向き合えるかが問われるはずです。2020年からは高島屋が廃棄食材で染めた衣料品を販売するなど、業界の垣根を越えた挑戦も本格化します。

もちろん、見た目の華やかさを捨てて環境価値を売ることは容易ではありません。リサイクルコストが価格に転嫁され、商品が割高になる可能性もあるからです。しかし、令和という時代は、単身(シングル)、高齢者(シニア)、小規模(スモール)という従来のキーワードに、持続可能性(サステナビリティー)と簡素(シンプル)という2つの「S」が加わります。ビジネスモデルを根底から作り直し、地球と対話する姿勢こそが、新しい豊かさを生むのです。

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