2019年06月に開催されたG20大阪サミット。世界各国の首脳が集まるこの大舞台で、ひときわ異彩を放った名脇役が存在します。それは、栃木県佐野市に本社を置く1995年創業のメーカー、サンテックが手掛けた「紙おしぼり」です。たかがおしぼりと侮るなかれ、そこには最先端の環境技術と、日本の「おもてなし」の心が凝縮されています。
今回、大阪サミットに向けて新たに開発されたのが「Ecoshibo(エコシボ)」という商品です。最大の特徴は、その名の通り徹底した「エコ」へのこだわりにあります。注目すべきは、紙の部分だけでなく、それを包むフィルムまでもが「生分解性」を有しているという点でしょう。これは、今の時代が求める環境負荷の低減を具現化した画期的な発明と言えるかもしれません。
ここで「生分解性(せいぶんかいせい)」という専門用語について解説しておきましょう。これは、微生物の働きによって物質が自然界で分解され、最終的には水と二酸化炭素となって土に還る性質を指します。つまり、従来のプラスチックのようにゴミとして残り続けることがありません。プラスチックによる海洋汚染が国際的な課題となる中、この完全生分解性の実現は非常に大きな意味を持っています。
トウモロコシから生まれた包装と究極の手触り
「エコシボ」は、素材にレーヨンパルプを使用しており、贅沢な3層構造に仕上げられています。手に取った瞬間に伝わる肉厚でソフトな質感は、これまでの紙おしぼりの常識を覆す高級感に満ちあふれているのです。また、包装フィルムにはトウモロコシを原料としたバイオマス素材を採用しており、植物由来の力が地球の未来を守る一助となっています。
SNS上では、サミットでの採用を受けて「日本のおもてなし技術はここまで進化したのか」「使い捨てなのに罪悪感がないのは素晴らしい」といった称賛の声が上がっています。環境意識の高いユーザーの間では、すでに2019年09月からの一般販売を待ち望む空気が広がっているようです。1本30円という価格設定も、その品質と環境性能を考えれば納得のいく数字ではないでしょうか。
サンテックの吉野志門社長は、以前からイスラエルの砂漠緑地化を支援するために売り上げの一部を寄付するなど、国際的な貢献活動に尽力されてきました。こうした情熱的な姿勢が縁を呼び、今回のサミットへの製品提供へと繋がったのでしょう。詳細は非公表ながら、300本のおしぼりが世界のリーダーたちの手を癒やしたという事実は、日本の技術力の証明に他なりません。
薄利多売からの脱却と高級路線への大胆な転換
今でこそ脚光を浴びる同社ですが、かつては1枚2円前後という低単価な商品の製造が中心でした。しかし、約10年前、吉野社長は「他社には真似できない高級路線」へと舵を切る決断を下します。国産紙へのこだわりを徹底し、100本からの小口注文や、企業ロゴのプリント対応など、きめ細やかなサービスを展開することで独自の市場を切り拓いてきたのです。
現在、その顧客リストには高級カーディーラーや腕時計販売店、さらには医療・介護現場やヨガスタジオまでが名を連ねています。年商2億2000万円のうち、かつての主力だった飲食チェーン向けは4割以下にまで減少しました。これは、単なる「拭く道具」を「ブランド価値を高めるツール」へと昇華させた、サンテックの経営戦略の勝利だと私は確信しています。
編集者の視点から述べさせていただくと、この「エコシボ」の登場は、サステナビリティとラグジュアリーが共存できることを証明しました。環境に良いことは、もはや我慢ではなく、誇り高い選択肢なのです。2019年07月17日現在、世界が注目するこの小さな1本が、私たちの消費行動をポジティブに変えていくきっかけになることを期待せずにはいられません。
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