静岡観光2020の課題と未来!インバウンドの中国依存脱却とハラル対応が映す「真の観光立県」への秘策

富士山や豊かな海の幸、美しい茶畑など、日本を代表する観光資源に恵まれた静岡県。近年、この地を訪れるインバウンド、つまり訪日外国人観光客の姿が急増しています。2020年1月8日にも、中国浙江省からのチャーター便が静岡空港に到着し、多くの旅行客が笑顔でツアーバスに乗り込みました。彼らの目的は、日本の伝統的な文化に触れ、中国や台湾との違いを体感することだといいます。地域経済の活性化を牽引する存在として、外国人観光客への期待は日々高まりを見せているのです。

観光庁が発表した宿泊旅行統計によりますと、2019年1月から9月における静岡県内の外国人延べ宿泊者数は179万3000人に達しました。これは前年の同じ時期と比べて32%もの大幅な増加であり、過去最高を記録した2018年を塗り替えるほどの猛烈な勢いを見せています。SNS上でも「静岡の温泉街で外国人観光客をよく見かけるようになった」「富士山周辺の活気がすごい」といった驚きの声が相次いでおり、地域社会におけるインバウンドの存在感は確実に大きくなっていると言えるでしょう。

政府は2020年に訪日外国人数4000万人、旅行消費額8兆円という高い目標を掲げており、静岡県にとっても経済底上げの大チャンスとなります。しかし、現実は甘くありません。訪日客の多くが東京や大阪といった大都市に集中し、静岡県は単なる通過点になってしまうケースが目立ちます。実際の調査でも、2018年の静岡県の訪問率はわずか4.4%で全国14位に留まりました。観光ツアーの現場からも、滞在するのは空港やホテルだけで、観光地としての目的地になり切れていないという悲痛な声が漏れています。

スポンサーリンク

通過点からの脱却へ!問われる独自コンテンツとDMOの戦略

ここで課題となるのが、静岡県の観光地としての見せ方です。専門家は、外国人から見れば地方都市はどこも似たような「田舎の風景」に映りやすいため、独自の魅力的なコンテンツがなければ選ばれないと指摘します。全宿泊者に占める外国人の割合は2019年1月から9月で10.4%に留まり、全国平均との差は拡大する一方です。観光地域を一体となってマネジメント・マーケティングする専門組織である「DMO」の担当者も、静岡の観光地経営はまだまだ発展途上であると厳しい現状を認めています。

さらに大きなリスクとして浮き彫りになったのが、中国人観光客への過度な依存体質です。2018年のデータでは、静岡県に泊まった外国人のうち、なんと65%が中国人であり、この割合は全国でトップとなっています。東京の25%や大阪の32%と比較しても突出した数字です。特定の国だけに頼るビジネスモデルは、外交関係の悪化による観光客激減のリスクと隣り合わせと言えます。かつて日韓関係の冷え込みによって韓国人客が激減し、大打撃を受けた長崎県対馬市の事例は他人事ではありません。

私は、これからの静岡観光には「量から質への大胆な転換」が必要だと確信しています。単に定番の観光地を巡る「ゴールデンルート」の経由地として人数を稼ぐビジネスモデルは限界を迎えており、今後は静岡でしか味わえない本物の体験価値を提供し、滞在時間を延ばす工夫が不可欠です。一国の情勢に左右されない強靭な観光経営を確立するためにも、欧米豪など多角的な市場へのアプローチを強化し、リスクを分散するリブランディングを急ぐべきではないでしょうか。

この危機的な状況を打破しようと、現地では多様なニーズに応える地道な挑戦が始まっています。2019年8月には10言語に対応した外国人向けコールセンターが開設され、受け入れ態勢が強化されました。また、御殿場市のリゾート施設では、イスラム教の戒律に従った食事を提供する「ハラルレストラン」や礼拝所である「モスク」を新設し、宗教や文化の壁を越えたおもてなしを実践しています。後発である静岡が選ばれるためには、単に人数を追うのではなく、快適に滞在してもらうための知恵が求められるのです。

明るい兆しも見え始めています。大井川鐵道の奥大井湖上駅が、2019年の「クールジャパンアワード」に県内で初めて選出され、その神秘的な美しさが世界に認められました。世界中から注目が集まる東京五輪・パラリンピックが開催される2020年は、静岡にとって最大の飛躍のチャンスとなるでしょう。訪れた人々が旅の感動をSNSで拡散し、それを見た新たな旅行者がまた足を運ぶという感動の好循環を今こそ構築すべきです。独自の価値を磨き続ければ、真の観光立県への道は必ず開かれます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました