金型や金属加工機の世界で高い技術力を誇るタケダ機械が、2020年1月10日に驚きの発表を行いました。同社が公表した2020年5月期の連結業績予想によると、最終的な儲けを示す純利益が、前の期に比べて45%も減少する3億5000万円にとどまる見通しです。このニュースが流れると、SNS上では「製造業の冷え込みが予想以上に深刻だ」「今後の株価の動きが気になる」といった、将来への不安や懸念を抱く声が数多く寄せられています。
利益がこれほど大きく目減りする背景には、長期化する米中貿易摩擦の存在が見え隠れしています。アメリカと中国による貿易上の対立は世界的な経済の停滞を招いており、タケダ機械の主要な取引先である自動車関連企業や建設業界でも、将来への警戒感から新しい設備を導入する動き、いわゆる設備投資を手控える動きが強まっているのです。市場の不透明感が企業の成長意欲にブレーキをかけている現状が浮き彫りになりました。
実際に2019年6月から2019年11月までの期間における業績を見てみると、純利益は前年の同じ時期と比べて31%減の2億1800万円という結果に終わっています。これは同社にとって4期ぶりの減益であり、順調だった成長路線に急ブレーキがかかった形です。とりわけ、材料を円盤状の刃で切断する「丸のこ切断機」の需要が、日本国内だけでなくお隣の韓国市場でも著しく落ち込んでしまったことが大きな痛手となりました。
さらに、同社が最も得意とし、収益の柱でもある「形鋼(かたこう)加工機」の売上高も、あらかじめ掲げていた目標に届きませんでした。形鋼とは、断面がH型やL型などの形をした強度の高い建築用鋼材のことで、主にビルや橋の骨組みに使われます。これを削ったり穴を開けたりする主力の機械が苦戦したことは、日本のインフラや建設分野における需要の足踏み状態を如実に物語っていると言えるでしょう。
製造業の現場は世界情勢の荒波をダイレクトに受けやすいため、今回の下方修正は仕方のない側面もあります。しかし、タケダ機械が持つ独自の技術力は依然として高く、一時的な投資抑制期を乗り越えれば、再び巻き返すチャンスは十分に巡ってくるはずです。目先の減益に一喜一憂するのではなく、自動化や省力化といった次世代のニーズを捉えた新製品の開発など、同社が仕掛ける次の一手にこそ期待を寄せたいところです。
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