日本のお茶の間を長年支えてきた魔法瓶の老舗に、突如として激震が走っています。2020年1月21日、中国の電子レンジ大手であるギャランツの創業家が、日本の生活家電大手、象印マホービン株式会社の株式を13.5%まで買い増していたことが明らかになりました。さらに、彼らは象印の経営体制に強い疑問を投げかけ、次の株主総会で新たな取締役を提案する構えを見せています。
SNS上ではこのニュースに対し、「象印の炊飯器や水筒の技術が海外に流出してしまうのではないか」という不安の声が上がる一方で、「保守的な日本企業の経営に新しい風が吹くかもしれない」と期待する意見もあり、大きな注目を集めています。長年親しまれてきたブランドだからこそ、その行く末を心配するファンが多いのは当然のことと言えるでしょう。
ギャランツは1978年に創業され、世界の電子レンジ市場で約3割のシェアを誇る巨大企業へと急成長を遂げました。その経営幹部である梁恵強副会長は、象印のコーポレートガバナンス(企業統治)、つまり企業が不祥事を起こさず健全な成長を遂げるための管理体制が「20年前で止まっている」と手厳しく批判し、経営の刷新を強く求めています。
実は、象印の業績はインバウンド(訪日外国人旅行者)による「爆買い」のブームが去った後、インターネット通販への対応の遅れなどが響き、4期連続の減収に落ち込んでいました。梁副会長は何度も日本を訪れて業務提携を提案したものの、象印側から明確な回答が得られなかったため、今回の強硬手段に出たという背景があります。
この事態に対して象印側も手をこまねいているわけではありません。すでにサントリーホールディングス株式会社の鳥井信吾副会長を取締役候補に迎える防衛策を打ち出し、対決姿勢を鮮明にしています。かつてのような単なる「業績不振企業の買収」とは異なり、今回は投資目的から始まった複雑な泥沼の主導権争いへと発展する様相を呈しています。
筆者の視点としては、グローバル競争が激化する現代において、日本の伝統的なモノづくり企業が過去の成功体験に縛られ続けることには限界があると感じます。技術力を守る防衛策は不可欠ですが、海外のダイナミックな販売網やスピード感を取り入れる柔軟性も、これからの老舗企業には求められるのではないでしょうか。
一方で、この「外から揺さぶり」を株式市場は好意的に受け止めているようです。海外企業との連携による業績回復への期待感から、象印の株価は短期間で約2割も上昇しました。投資家の間では、今回の騒動が象印にとって、眠れるブランド力を呼び覚ます良いきっかけになるのではないかという見方が広がっています。
運命の決戦の舞台となるのは、2020年2月19日に開催予定の象印の株主総会です。ここで象印が株主を納得させる明確な成長戦略を示せるかどうかが、今後の会社の命運を握ることになるでしょう。お馴染みの「ゾウのマーク」がこれからも輝き続けられるのか、その行方から目が離せません。
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