大手精密機器メーカーのオリンパスが、中国・深圳(しんせん)にあるデジタルカメラ製造子会社の売却を断念したことが、2020年01月20日に明らかとなりました。現地企業への株式譲渡を目指して2018年12月に基本契約を結んだものの、最終的な条件面で合意に至らなかった模様です。約300億円という巨額の譲渡益が見込まれていたプロジェクトだけに、今回の交渉決裂は市場にも大きな驚きを与えています。
インターネット上やSNSでは、この突然の発表に対して「カメラ事業の先行きがさらに不透明になったのではないか」「今後の業績への影響が心配」といった、ファンや投資家からの不安の声が相次いでいます。その一方で、「安易に妥協しなかった経営判断は賢明だ」と、同社の姿勢を支持する意見も散見されました。今回の決定は、自社の価値を正当に評価しようとする強い意志の表れとも受け取れます。
カメラ事業再編の裏に潜む課題と泥沼化する裁判の影
オリンパスはスマートフォンの普及に伴うデジカメ市場の縮小に対応するため、構造改革を進めていました。その一環として2018年05月に深圳での生産を終了し、現地ソフト会社への子会社売却を進めていたのです。当初は2019年06月ごろの完了を見込んでいましたが、交渉は長期化していました。企業取引における売却とは、自社が持つ株式や経営権を他社に譲り渡すことを指しますが、その価格や条件の擦り合わせは容易ではありません。
さらに状況を複雑にしているのが、現地で起きている法的なトラブルです。この子会社は業務委託料の支払いを巡り、現地のコンサルタント会社と裁判で争っています。2018年08月には日本の地裁にあたる中級人民法院から、約3000万ドル(約33億円)の支払いを命じる厳しい判決が下されました。オリンパス側はこれを不服として控訴中ですが、こうした訴訟リスクが今回の売却交渉に影を落とした可能性は否定できません。
今回の譲渡中止による業績予想への直接的な影響はないとされていますが、同社は今後、別の買い手を探す方針です。筆者の視点としては、成長著しい医療事業へ経営資源を集中させるためにも、このデジカメ事業の整理は避けて通れない道だと考えます。今回の足踏みを乗り越え、いかに迅速に次の売却先を見つけられるかが、オリンパスが次世代のグローバル企業へと脱皮するための重要な鍵を握っていると言えるでしょう。
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