日常の移動を劇的に変えた革新的な配車サービスに、今までにない大きな逆風が吹き荒れています。米国のウーバーテクノロジーズが2020年1月10日、南米のコロンビアにおける配車事業を2020年1月31日をもって中止すると発表しました。現地ではスマートフォンのアプリで簡単に車を呼べる利便性が支持されていたものの、既存のタクシー業界からの強い反発に直面していたのです。最終的に裁判所から事業内容の見直しを命じる判決が下され、撤退を余儀なくされました。
インターネット上では、この突然の発表に対して「これからどうやって移動すればいいのか」「不便になる」といった利用者の悲痛な叫びが溢れています。その一方で、既存の公共交通機関を守るための正当な判断だと評価する声もあり、SNSでは激しい議論が巻き起こっている状況です。配車サービスとは、一般のドライバーが自家用車を使って乗客を運ぶ仕組みを指し、シェアリングエコノミーの代表格として世界中で急成長してきました。しかし、その急速な拡大が各地で摩擦を生んでいます。
中南米地域は、治安への不安や公共交通の不便さからウーバーの需要が極めて高く、同社にとって重要な市場でした。実際にコロンビア国内だけでも、200万人もの熱心な利用者と8万8000人におよぶ登録ドライバーを抱えていたと公表されています。これほど大規模なインフラに成長していたにもかかわらず、今回の全面停止が決定した衝撃は計り知れません。利便性を最優先するユーザーと、生活の糧を脅かされるタクシー運転手との溝は深まるばかりです。
事態がここまで悪化した背景には、生活への深刻な打撃を懸念したタクシー業界による猛烈な抗議活動がありました。業界の意向を汲み取ったコロンビアの政府系機関がウーバーを相手に裁判を起こし、2019年12月に事業中止を求める判決が言い渡されたのです。これまでも同社は現地の規制を巡って対立を続けており、過去には巨額の罰金刑を科された歴史もあります。法律やルールの枠組みを軽視した結果が、今回の最悪な結末を招いたと言えるのではないでしょうか。
テクノロジーがもたらす革新は素晴らしいものですが、既存の社会秩序や労働者の権利を無視して進むべきではありません。ウーバー側も、現地の法律に寄り添いながら共存の道を模索する柔軟性が必要だったと感じます。新旧の産業が互いに手を取り合う仕組みを作らなければ、最終的に不利益を被るのは私たち一般の消費者に他なりません。変化を拒絶するだけでなく、時代に合わせた柔軟な法整備を国側が主導していくことも強く求められているでしょう。
実は、ウーバーが規制当局と対立しているのはコロンビアだけの問題ではありません。例えばイギリスのロンドン交通局は、2019年11月に同社の営業免許を更新しない方針を打ち出しました。さらに本国である米国でも、ニューヨーク州やカリフォルニア州において配車サービスを標的にした厳しい規制が次々と導入されています。イノベーションの旗手として世界を席巻したウーバーですが、今や各国で法的な包囲網が狭まっており、正念場を迎えているのです。
コメント