製薬業界に激震が走るほどの、驚きの決算発表が行われました。日本たばこ産業(JT)の傘下として知られる鳥居薬品株式会社が、2020年1月20日に2019年12月期の単独決算を公表したのです。その内容によると、最終的な儲けを示す税引き利益が前の期と比べて約24倍という、273億円にまで急膨張しました。従来の見通しであった257億円をさらに上回る着地となり、市場関係者の間でも大きな話題を呼んでいます。
これほどの急成長を遂げた背景には、会計上の法的な仕組みが大きく関係しています。今回は「繰延税金資産(くりのべぜいきんしさん)」の計上が、利益を押し上げる強力な追い風となりました。これは将来的に支払う法人税などの税負担が軽くなる見込みがある場合に、あらかじめ資産として帳簿に記録できる便利な制度です。この効果によって実際に支払う税金の額が減少し、最終的に会社の手元に残る純利益が予想以上に膨らむ形となりました。
SNS上では、この異次元とも言える「24倍」という数字に対して、驚嘆の声が続出しています。「一瞬、何かの見間違いかと思った」「製薬ビジネスの爆発力は本当に凄まじい」といった書き込みが相次ぎ、投資家たちのタイムラインはお祭り騒ぎとなりました。中には「これだけ利益が出るなら、これからの新薬開発にも大いに期待ができるのではないか」と、同社の未来に熱い視線を注ぐポジティブな意見も目立っています。
HIV薬の契約解消による巨額の譲渡益と売上高の減少
しかし、今回の利益急増の真の理由は、一時的なビッグビジネスの清算にあります。親会社であるJTが、アメリカの医薬品大手であるギリアド・サイエンシズ社との間で結んでいた、抗エイズウイルス(HIV)治療薬の開発および販売に関する契約を解消したのです。これに伴い、これまで国内での販売を担っていた鳥居薬品に対して、406億円という巨額の譲渡益が支払われることになり、利益の水準が一気に跳ね上がりました。
その一方で、屋台骨だったHIV薬を手放した影響は、売上高の面で顕著に現れています。全体の売上高は前の期に比べて31%減の429億円へと大きく落ち込み、ビジネスの規模自体は縮小を余儀なくされました。とはいえ、事前の予想よりは2億円ほど上振れて着地しており、壊滅的な打撃は免れています。稼ぎ頭を失った穴をどのように埋めていくのかが、今後の同社にとって最大の分岐点になるでしょう。
私個人の見解としては、今回の決算は「大成功」と手放しで喜ぶには少し早いと感じています。巨額の譲渡益は一時的な特需に過ぎず、主力商品を失ったことによる売上高の3割減少は、企業として非常に重い課題だからです。集まった豊富な資金を原資にして、いかに早く次の成長エンジンとなる新薬を見つけ出せるかが運命を握っています。経営陣の手腕が、今まさに試されていると言っても過言ではありません。
救世主となったスギ花粉症治療薬シダキュアの躍進
そんな苦しい売上状況の中で、一筋の光明となったのがアレルギー疾患治療の分野です。特にスギ花粉症の治療薬である「シダキュア」の販売が非常に好調で、売上の下支えに大きく貢献しました。これは「アレルゲン免疫療法」と呼ばれる、アレルギーの原因物質をあえて少量ずつ体内に取り入れることで、体を花粉に慣らして根本的な体質改善を目指すための、最先端の画期的なお薬です。
このシダキュアは、舌の下に錠剤をしばらく置いてから飲み込む「舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)」を採用しています。従来の注射による治療法とは異なり、自宅で手軽に痛みを伴わずに治療を続けられる点が、多くの患者から絶大な支持を集めました。毎年多くの人々が悩まされる国民病とも言える花粉症において、この手軽さはまさに市場のニーズに完璧に合致したと言えます。
SNSでも「シダキュアのおかげで春が劇的に快適になった」「一度始めると手放せない神薬」など、ユーザーからのリアルな絶賛の声が溢れています。こうした患者目線に立った製品がヒットしている事実は、同社の開発力の高さを証明しているでしょう。HIV薬のショックを乗り越え、アレルギー治療のリーディングカンパニーとして鳥居薬品がここからどう羽ばたくのか、今後も目が離せません。
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