ヨーロッパの勢力図が大きく塗り替わる歴史的な瞬間がいよいよ現実のものとなってきました。イギリスの議会上院は2020年1月22日、欧州連合、いわゆるEUから脱退するための具体的な条件を定めた離脱関連法案を可決しました。すでに下院でも可決されているため、これで上下両院の同意が揃った形となります。この後はエリザベス女王による正式な承認である「裁可」を経て、法律として成立する見通しです。イギリス国内における手続きはこれで事実上すべて完了したことになります。
この決定を受けて、ネット上やSNSでは早くも大きな地殻変動が起きています。「本当についに離脱するんだ」「これからヨーロッパへの旅行やビジネスはどうなるの?」といった不安の声が目立ちます。その一方で、「ジョンソン首相の強い意志が実を結んだ」「これで長引いた政治の混乱が落ち着く」と肯定的に評価する意見も数多く見られます。世界中の人々がこの世紀の決断に対し、固唾をのんで今後の展開を見守っている様子がリアルタイムの投稿からもひしひしと伝わってきます。
今回の法案の核となるのは、2019年10月にボリス・ジョンソン首相がEU側と合意した「離脱協定案」を国内の法律に落とし込むことです。これには激変緩和措置、つまり急激な変化による経済や社会の混乱を和らげるために、2020年12月末まで設けられた「移行期間」が含まれています。この期間中はEUのルールの大部分がそのまま適用される仕組みですが、イギリス政府はこの期間を絶対に延長しないという非常に強気な方針を打ち出しました。
こうした政府の姿勢に対し、野党は「期間が短すぎて経済へのダメージが大きい」と猛烈に反発を強めていました。しかし、先日の総選挙で圧倒的な議席数を獲得して多数派となった与党・保守党の力強い後押しもあり、法案は2020年1月9日に下院を無事に通過していたのです。政治的な主導権が完全に政権与党へ握られていることが、このスピーディーな可決劇を後押ししたと言えるでしょう。
修正案を巡る攻防と今後のスケジュール
一方で、与党が過半数に届いていない上院では、一筋縄ではいかない激しい議論が交わされていました。上院側は、イギリス国内に暮らすEU市民が在留資格をスムーズに取得できるような配慮や、孤立した難民の子どもたちを保護する規定を追加した「修正案」を可決したのです。これにより法案は一度、下院へ差し戻される事態となりました。しかし、2020年1月22日の下院審議にて、保守党などの反対多数によってこの修正案はあっけなく却下されてしまいます。
下院での否決を受け、最終的に上院もこれ以上の抵抗は難しいと判断し、元の法案をそのまま承認する道を選びました。今後はEU側でも手続きが進められ、2020年1月29日に欧州議会による承認が下りるスケジュールとなっています。これにより、2020年1月31日の午後11時、日本時間では2020年2月1日の午前8時に、イギリスのEU離脱が完全に実現することが確実となりました。
筆者の視点として、今回の離脱劇は単なる一国の政治問題に留まらず、グローバル経済の枠組みを根底から揺るがす大事件であると考えています。特に移行期間の延長を認めない姿勢は、2020年末までに自由貿易協定を結べなければ「合意なき離脱」と同等の大混乱を招くリスクを孕んでいます。ジョンソン首相のこの大胆なギャンブルが、イギリスに真の繁栄をもたらすのか、あるいは経済の冷え込みを招くのか、私たちは日本への影響も含めて注視していく必要があるでしょう。
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