日本のモノづくりを根底から支える重要なパーツをご存知でしょうか。自動車や家電製品などの部品を大量生産する際に不可欠な「金属の型」のことを「金型(かながた)」と呼びます。この金型業界が今、かつてない深刻な局面を迎えているのです。そんな中、除雪機などの製造で高い技術力を誇るフジイコーポレーション(新潟県燕市)が、非常に画期的なビジネスに挑戦することを決定しました。なんと、全国を対象としたプレス加工用金型の修理サービスへ本格的に参入するのです。
このニュースに対し、SNS上では「長年使ってきた金型が壊れたらどうしようと不安だったから本当にありがたい」「燕市の高い技術力があれば安心して任せられる」といった、製造業関係者を中心とした歓喜の声が多数寄せられています。金型は職人の緻密な手作業によって作られるケースが多く、今までは「作ったメーカー自身が直す」という暗黙の了解がありました。しかし、リーマン・ショック以降の不況や、少子高齢化に伴う後継者不足が原因で、ここ10年間のうちに約3割もの金型メーカーが廃業に追い込まれている現実があります。
職人がいなくなり、修理の預け先を失った「金型難民」が増加する中で立ち上がるのが、2020年春から開始される新サービス「KANAGATAYA(カナガタヤ)」です。破損してしまった金型を全国の業者から燕市の工場へ引き受け、熟練の技術で蘇らせます。修理にかかる費用は大きさや傷の状態によって異なりますが、平均で50万円から60万円程度を想定しているとのことです。さらに、頼もしいことに、預けてから2週間から3ヶ月以内という短い期間でスピーディーに修理を完了させてくれます。
フジイコーポレーションは、かつて金型の外販を行っていた実績があり、現在も農業機械や建設機械の部品を作るプレス加工を自社で手がけています。このプロジェクトは、自社のノウハウを社会貢献に役立てるだけでなく、他社の優れた金型に触れることで、自社の技術力をさらに磨く絶好の学びの機会でもあると捉えているようです。同社はこの持続可能な新事業によって、年間1億円の売上を達成することを目指しています。
筆者は、この取り組みこそが現代の日本が直面する「技術承継問題」に対する一つの最適解だと確信しています。単なるビジネスの枠を超え、他社の優れた職人技を預かり、自社の糧としながら後世へ繋いでいく姿勢には深く感銘を受けました。確かな実力を持つ企業がこうしたプラットフォームを築くことで、国内の製造業の灯は決して消えることなく、より強固に輝き続けるのではないでしょうか。2020年1月23日に発表されたこの熱い挑戦に、今後も目が離せません。
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