2020年は日中関係において、今後の方向性を左右する極めて重要な転換点となりそうです。今春には中国の習近平国家主席が国賓として日本を訪れる予定であり、安倍晋三首相との間で新たな二国間関係を定義づける政治文書の交わし合いも視野に入っています。近年は日本を訪れる中国からの旅行者が目に見えて増加しており、中国側における対日感情は確実な好転の兆しを見せている状況です。しかしその一方で、日本国内の歓迎ムードは今ひとつ盛り上がりに欠けているのが現状と言わざるを得ません。
この温度差は、両国の首脳会談でも度々議題に上るほど顕著なものとなっています。中国から日本への訪問者数が2014年以降に急増し、2018年には当時の約3.5倍にまで膨れ上がったのに対し、中国へ向かう日本人の数は横ばいのままです。民間団体による2019年10月の世論調査でも、日本に良い印象を持つ中国人が過去最高の45.9%に達したのに対し、中国に好感を持つ日本人はわずか15%にとどまりました。SNS上でも「中国旅行は魅力的だけどハードルが高く感じる」といった声が散見されます。
過去の歴史から読み解く日本人の心理的障壁
内閣府が1978年から実施している調査を遡ると、日本人の対中感情は大きく3つのフェーズを経て冷え込んできたことが分かります。1978年の平和友好条約締結からの約10年間は良好な関係が続いていましたが、1989年の天安門事件を境に親近感は急落しました。さらに2004年以降は、サッカーのアジアカップでの激しいブーイングや、2010年の尖閣諸島沖での衝突事案、2012年の尖閣諸島国有化への猛反発などが重なり、日本人の「親しみを感じない」という割合は常に7割を超える固定化された状態が続いています。
経済面では中国が日本にとって最大の貿易相手国であり、切っても切れない相互依存関係にあるのは間違いありません。しかし、現場の国民感情がここまで冷ややかなのは、安全保障や人権に関わる「硬い課題」が未解決だからです。尖閣諸島周辺への中国公船の領海侵入や、東シナ海でのガス田一方的開発、さらには2015年以降に少なくとも15人の日本人がスパイ容疑などで拘束されている現実があります。これらが解決されない限り、日本国民が心から融和を歓迎する空気は醸成されにくいでしょう。
草の根交流と今後の展望への一言
こうした構造的な課題を打破するため、両国政府は2019年11月に初のハイレベル人的・文化交流対話を東京で開催しました。その結果、2020年を「日中文化・スポーツ交流推進年」と定め、中国でも絶大な人気を誇るアイドルグループ「嵐」を親善大使に起用することを決定しています。国民的ポップスターの力を借りた文化交流が、冷え切った日本人の対中感情をどこまで溶かすことができるか、SNSでも「嵐の力で少しでも距離が縮まればいいな」と大きな期待が寄せられているところです。
編集部としては、大国の外交論理に振り回されることなく、日本政府には毅然とした姿勢を貫いてほしいと考えます。米中のハイテク覇権争いが激化する現国際情勢において、中国にとっての日本の外交的価値が高まっている今こそ、問題があるからこそ対話を続けるという粘り強いアプローチが必要です。ただ相手の出方を待つのではなく、日本の国益と国民の安全を守るための確固たる外交カードとして、この「好機」を戦略的に活かす智慧が、今まさに日本の指導者層に問われているのではないでしょうか。
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