スイスのダボスで2020年01月23日に開催された政策理事会において、欧州中央銀行(ECB)は金融政策の戦略的な見直しを行うことを決定しました。低インフレが続き、大規模な金融緩和が長引く中で、副作用への懸念を背景に物価目標や具体的な手段を議論していく方針です。
ラガルド総裁は記者会見で、環境と持続可能性が今回の見直しにおいて極めて重要な部分であると強調されました。SNS上でも「ついに中央銀行が環境問題に本腰を入れるのか」と期待が高まる一方で、「本来の役割を逸脱しているのではないか」という慎重な意見も飛び交い、大きな反響を呼んでいます。
今回の戦略的な見直しは、2003年以来となるじつに17年ぶりの試みです。現在掲げている「2%近く」という物価安定の数値目標を一定の範囲を持たせた柔軟なものへと改める案が浮上しており、一時的に2%を超えるインフレを容認することで、長期的な緩和姿勢を示す狙いがあるのでしょう。
ここで言うインフレとは、物価が上がり続ける現象を指します。かつての中央銀行は物価の上昇を抑えることが主な役割でしたが、現代の欧州経済は高齢化や生産性の伸び悩みにより、デフレ(物価が下がり続けること)に陥らないよう下支えすることが最重要課題へと変化しているのです。
また、ラガルド総裁はマイナス金利などの政策がもたらす「潜在的な副作用」についても深く議論する姿勢を見せました。マイナス金利とは、民間銀行が中央銀行にお金を預ける際に手数料を徴収される仕組みのことで、これにより銀行の収益が悪化したり、不動産バブルを招いたりするリスクが指摘されています。
さらに、今回の目玉とも言えるのが「グリーンボンド(環境債)」の購入を巡る議論です。これは環境問題の解決に特化した事業を資金使途とする債券のことで、ECBが毎月実施している巨額の資産買い入れを通じて、こうした環境債を積極的に購入すべきだという意見が強まっています。
中央銀行が気候変動という地球規模の課題に踏み込むことは、現代の経済において非常に革新的であり、私はこの挑戦を強く支持したいと考えます。市場に莫大な影響力を持つECBが環境投資を後押しすれば、世界のサステナブルな発展に向けた強力な推進力となるはずです。
しかしながら、ドイツなどからは「気候変動対策は政府が行うべき領分であり、中央銀行の役割ではない」という強い反発の声も上がっています。そのため、今回の見直し作業では、ECBがどこまで踏み込むのが適切なのか、2020年末の結論に向けて慎重な議論が続けられる見通しです。
なお、同日の理事会では現在の金融緩和政策を維持することが決まりました。米中貿易摩擦に改善の兆しが見え、景気の後退リスクは薄らいでいるものの、物価の上昇に勢いが欠けることから、当面はこれまでの大規模な緩和措置が継続される見込みとなっています。
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