シェアリングエコノミーのトラブル急増?個人間取引の罠と失敗しない信頼関係の築き方

インターネットを介して個人が持つモノや空間、スキルを共有し合う「シェアリングエコノミー」が急速に拡大しています。しかし、利便性の裏側でトラブルが多発していることをご存じでしょうか。SNS上でも「楽しみにしていたサービスで嫌な思いをした」「写真と実物が違いすぎる」といった、ユーザーの悲痛なもやもや声が数多く飛び交っています。利便性と背中合わせにある個人間ならではの難しさが、今まさに浮き彫りになっているのです。

神奈川県内に暮らす30代の男性は、サークルの案内作成をスキルシェアで依頼したものの、期日を過ぎても納品されず頭を抱えました。ここで言うスキルシェアとは、個人の持つ専門知識や技術を他者に提供する仕組みを指します。男性はデザインの変更をメールで相談しながら進めていましたが、仲介サイトからは当事者間での解決を求められるだけでした。結局、不満の残る成果物を待つしかなく、深い苦汁をなめる結果となったそうです。

こうした問題は、対面で完結する英会話やビジネス相談の場でも目立ちます。言葉遣いが威圧的であったり、性格の不一致を感じたりと、感情的な衝突に発展する事例が後を絶ちません。また、モノや空間の貸し借りにおける落胆の声も深刻です。フリマアプリで届いた商品が偽物だったケースや、レンタルした会議室が写真と異なり不潔だったという報告もあります。さらには、イベント会場のトイレが改修中であることを当日に知らされるなど、事態は多岐にわたる状況です。

最悪のケースでは、民泊で予約した部屋の鍵が見当たらず、二重予約が発覚して途方に暮れた20代女性もいます。食事配達サービスを頼んだ20代男性は、料理がひっくり返って汁が漏れているにもかかわらず、配達員から謝罪の一言もなかった事実に呆然としました。被害に遭うのは利用者側だけにとどまりません。夜間に営業するバーの店舗を昼だけ貸し出したオーナーは、利用者がブレーカーを落としたせいで冷蔵庫の食材が全滅するという実害を被っています。

さらに、介護の現場でのセクハラ被害や、カーシェアで貸し出した車両が勝手に売却されるという凶悪な事件まで報道される事態となりました。大和総研の市川拓也主任研究員は、相手がプロではないという前提を忘れてはならないと警告します。企業が提供する手厚いサービスとは本質的に異なるため、円滑な解決を導く仕組み作りが不可欠であると専門家は訴えています。不特定多数の評価システムだけでは、予測不能なトラブルを防ぎきれないのが現状です。

私は、この問題の根底に「安さや手軽さへの甘え」があると考えます。お互いが対等な個人である以上、敬意を欠いた態度は致命的な決裂を生むでしょう。便利な時代だからこそ、相手を思いやるコミュニケーションの原点に立ち返るべきです。幸いにも、仲介業者は対策へと乗り出しています。損害保険ジャパン日本興亜によると、訪問先で食器を割るような物損が補償全体の9割を超えており、こうした損害をカバーする保険の導入が各社で進み始めました。

たとえばスキルシェアを運営するストリートアカデミーは、2019年10月に講座中の怪我や物損に対応する補償制度を新設しました。スペースマーケットやタスカジといった大手も、オーナーやスタッフが集う情報交換の場を設け、トラブルの実例を共有しています。また、子育てシェアを手掛けるアズママでは、利用者がリアルに集まる交流会を重視し、事前の顔合わせによる信頼構築に全力を注いでいる状況です。地道な絆作りこそが、最大の防壁になるのかもしれません。

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安心の未来へ!動き出した国際ルールと利用者に求められる目利き力

安全な取引環境を整えるため、シェアリングエコノミー協会は2017年から認証制度をスタートさせました。これは内閣官房が定めた方針をベースに、相談窓口の設置など約200項目をクリアした事業者にマークを付与する画期的な試みです。さらに日本が幹事国となり、国際標準化機構(ISO)での世界基準作りも本格化しています。その中では、裁判を起こさずにネット上で紛争を解決する「ODR(オンライン・ディスピュート・レゾリューション)」の導入も議論されています。

消費者庁も2019年に「共創社会の歩き方」というパンフレットを発行し、国民へ注意喚起を行いました。誰もが手軽に提供者にも利用者にもなれる素晴らしい時代だからこそ、私たちは新たな人間関係の距離感に慣れていく必要があります。発生し得るリスクを正しく学び、健全なサービスを見極める「選定の目」を養うことが、これからの時代を生き抜くスマートな消費者に課せられた必須条件と言えるでしょう。

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