米国の航空機大手ボーイング社が揺れています。同社の主力小型旅客機「737MAX」の運航停止が、2020年6月から7月頃まで長引く見通しとなりました。2020年1月21日の公式声明で、運航再開は2020年半ばになると予測されたためです。夏の旅行シーズンに間に合わない事態となり、各航空会社への補償額は1兆円を突破するとの試算も出ています。中・大型機でも顧客離れが深刻化しており、欧州エアバス社との2大巨頭体制が崩壊しかねない危機的状況です。
SNS上では「旅行の予約に影響が出そうで怖い」「安全性が第一だけど、これほど長引くとは」といった、一般の旅行者や航空ファンからの不安の声が続出しています。運航スケジュールの大幅な見直しを迫られる航空会社も多く、影響は計り知れません。
パイロット不足に拍車をかけるシミュレーター訓練の壁
運航が再開されたとしても、航空会社には高いハードルが残されています。それがパイロットの「シミュレーター訓練」です。これは、本物の操縦席を模した高度な模擬飛行装置を使った訓練のことで、実機を飛ばさずに安全に操縦技術を習得・維持するために用いられます。
当初この新型機は、旧型機の経験があれば特別なシミュレーター訓練は不要とされていました。しかし、2件の悲惨な墜落事故を受けて方針が転換され、今では訓練の実施が強く推奨されています。ただでさえ世界的なパイロット不足が叫ばれるなか、一日でも訓練に時間を割かれることは、現場の人繰りにとって致命的な痛手となるでしょう。日本のANAホールディングスも今後の導入計画を予定していますが、現場の負担増は避けられない見込みです。
巨額の損失と部品メーカーへの容赦ない連鎖
今回の事態により、ボーイング社の財務は火の車です。運航停止が2020年半ばまで続いた場合、追加の補償金は最大で1兆1000億円規模に膨らむと米大手の金融機関が試算しています。さらに、生産停止による関連費用を合わせると、累積損失は2兆円以上になる恐れがあります。現在、複数の金融機関と巨額の資金調達を協議中と報じられていますが、業績が完全に回復するのは2022年までかかるという厳しい見方が濃厚です。
さらに、この衝撃は部品を供給するサプライヤーへも容赦なく連鎖しています。機体の多くを製造する米国の主要部品メーカーでは、すでに2800人規模のレイオフ(一時解雇)が始まりました。大企業のつまずきが、多くの労働者の雇用を脅かす深刻な社会問題へと発展しています。一刻も早い安全性の証明と信頼回復への道筋が求められます。
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