茨城県に赴任してから2020年01月25日時点で4か月が経ちますが、想像を超える自動車社会の現実に日々驚かされています。道路網の発達は企業の誘致に大きなアドバンテージとなる反面、車を運転しない私のような立場からすると、日常生活で少なからず不便さを覚えるのが本音です。
その象徴とも言える場所が、JR水戸駅から直線距離で4キロメートル以上も離れた場所に位置する茨城県の本庁舎でしょう。約220台を収容可能な職員用の立体駐車場は、毎日のようにマイカーで埋め尽くされており、中には抽選に漏れて利用できない職員もいるほど混雑しています。
こうした状況を打破するため、県は2020年04月から大胆な通勤制度の見直しへと舵を切ることを決定しました。JR常磐線や水戸線などの主要沿線に住み、最寄り駅やバス停から5キロメートル圏内に自宅がある本庁舎職員を対象に、これまで支給していた高速道路料金の補助を廃止するのです。
さらに、本庁舎から5キロメートル圏内に居住する職員に対しては、駐車場の利用自体を制限するという厳しい措置も講じられます。県人事課は「バスや電車といった公共交通機関の利用を活性化させたい」と狙いを定めており、従来の呼びかけから一歩踏み込んだ意識改革を促しています。
ネット上ではこの試みに対し、「公務員が率先して環境や公共交通に配慮するのは素晴らしい」「バスの減便が続く地方を救う一手になってほしい」という応援の声が上がっています。その一方で、「運行本数が少なすぎて現実的に厳しいのでは」と心配する意見もあり、議論が交わされていました。
「時間がかかる」「ダイヤが限られている」といった理由から、マイカー通勤を続けたい職員の気持ちも分かります。しかし、茨城県内でも高齢化の波は急速に押し寄せており、移動手段としての公共交通の重要性が今後は確実に増していくでしょう。長期的な視点で見れば、今回の決断は非常に理にかなっています。
高齢ドライバーによる交通事故が社会問題となる昨今、運転免許の自主返納が増えるのは自然な流れと言えます。県民の間で通勤や買い物に公共交通を利用する機運が高まれば、利用者の減少に悩む交通事業者も、路線の維持や増便といった前向きな投資がしやすくなるはずです。
一方で、公共交通の側もただ待つだけでなく、アイデア次第で需要を掘り起こすチャンスは残されています。その好例として注目したいのが、ひたちなか市内を走る第三セクター鉄道(国や自治体と民間企業が共同出資して運営する鉄道会社)の「ひたちなか海浜鉄道」です。
こちらのローカル線は非常に情緒があり、私も取材で頻繁に利用しています。同社によると、2019年04月から2019年09月までの輸送人員は、通勤定期が前年同期比で13%増、通学定期も9%増と、少子化や車社会と言われる逆境の中で驚異的な伸びを記録しているのです。
この躍進の背景について吉田千秋社長は、年間の通学定期を割安に改定したことや、利用者の利便性を考えたダイヤ改正の成果ではないかと分析しています。さらに、走行中の車内で演劇を上演するといったユニークなイベント企画も、根強い固定ファンを惹きつける原動力となりました。
長年親しんだ車社会のライフスタイルを一朝一夕に変えることは容易ではありません。それでも、交通事業者がサービスの魅力を磨き上げ、住民が地域に愛着を持って寄り添うことができれば、茨城県全体の価値を高めることにつながるはずです。この「通い方改革」が素晴らしい未来を手繰り寄せることを期待しています。
コメント