世界中で猛威を振るい始めた新型肺炎の感染拡大により、クローバルな金融市場が大きな地殻変動を起こしています。2020年1月27日のニューヨーク株式市場では、ダウ工業株30種平均が前週末と比べて453ドル安という歴史的な急落を記録しました。この下落幅は約3カ月半ぶりの大きさであり、投資家の間に走った緊張の強さを物語っています。インターネット上のSNSでも「リーマンショックの再来か」「どこまで下がるか不安すぎる」といった悲鳴に近い声が次々と投稿されており、市場の動揺が一般の個人投資家にも急速に広がっている模様です。
この激震は海を越え、2020年1月28日の東京株式市場にも直撃しました。日経平均株価は一時200円を超える値下がりを見せ、アジアの主要な株式市場も連鎖的に大きく売られています。投資家たちが一斉にリスクを避けようとする「リスク回避」の姿勢を強めた結果、株式のような価格変動の大きい資産から、より安全とされる国債などへ資金を避難させる動きが本格化しているのです。世界的な景気減速への警戒感が、かつてないほどに高まっています。
直撃を受ける航空・ブランド株!インバウンド消失への恐怖
今回の株安連鎖で特に深刻なダメージを受けているのが、旅行や消費に直結するセクターです。中国政府が海外への団体旅行を禁止したことで、訪日外国人による消費行動を示す「インバウンド(訪日外国人観光)消費」の激減が確実視されています。ヨーロッパ市場では、エールフランスKLMの株価が6%も急落しました。さらに高級ブランド大手の仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンも昨年末以来の安値を付けており、移動制限による買い控えが世界中の企業業績を脅かしています。
さらに投資家の不安を煽っているのが、中国政府による春節(旧正月)の休暇延長という異例の措置です。これによりハイテク産業をはじめとする製造業の工場稼働がストップし、部品の調達から製品の完成に至る一連の調達・供給ルートである「サプライチェーン(供給網)」が分断されるリスクが浮き彫りになりました。例えば、製品生産を中国に深く依存する米アップル社の株価は3%安で引けており、ハイテク巨頭でさえこの未曾有の事態から逃れることはできていません。
日本企業にも迫る危機と今後の市場を生き抜く視点
日本国内の企業も決して他人事ではありません。2020年1月28日の東京市場では、中国の武漢市に重要な生産拠点を持つホンダの株価が一時2%下落しました。中国経済の冷え込みに業績が左右されやすい半導体大手のSUMCOや、建設機械大手のコマツも一時4%安と、実体経済への悪影響がドミノ倒しのように押し寄せています。市場関係者からは、日経平均株価が2万2000円程度まで下落する可能性を指摘する声もあり、現段階での安易な押し目買いは極めて危険な状況と言えるでしょう。
筆者の視点として、今回の市場の反応は単なる一時的なパニックではなく、世界の中国依存度の高さを改めて突きつける警鐘であると考えます。米中貿易交渉の合意による景気回復への期待感は、この未知のウイルスによって一瞬で吹き飛ばされてしまいました。原油や銅といった資源価格も軒並み急落する中、今後は各社の決算発表において経営陣がどのような見通しを語るのかが運命の分かれ道になります。感染者数の推移を冷徹に見極めつつ、徹底した資産防衛の姿勢を崩さないことこそが今最も求められる賢明な選択です。
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