【解説】FRBが53兆円超の巨額供給へ!年末の「ドル不足」危機と金融規制のジレンマに迫る

2019年12月16日、世界の金融市場が緊張感に包まれています。米連邦準備理事会(FRB)は、年末にかけてドルの金利が異常に跳ね上がる事態を防ぐため、合計で約4900億ドル、日本円にして約53兆円という驚くべき規模の資金供給を行うことを決定しました。

この異例の措置が必要となった背景には、年末特有の「ドルの需給逼迫(じゅきゅうひっぱく)」があります。需給逼迫とは、お金を借りたい人が多いのに対し、貸し出す準備があるお金が足りなくなる状態を指します。今回は特に、民間銀行がドルの放出を渋っていることが原因です。

ニューヨーク連銀が2019年12月12日に発表した方針によれば、期間2週間の資金供給や、大晦日の翌日物供給を組み合わせることで、年をまたぐ資金繰りを強力にバックアップする構えです。このニュースに対し、SNSでは「リーマンショックの再来か?」といった不安の声も広がっています。

国際決済銀行(BIS)は、2019年12月8日の報告書で、現在の市場構造に警鐘を鳴らしました。かつては米大手銀行が市場へ積極的に資金を供給していましたが、現在は厳しい金融規制への対応を優先しており、手元に現金を抱え込む「資金の抱え込み」が常態化しているのです。

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金融システムを揺るがす「構造的」な課題とFRBの苦悩

ヘッジファンドなどの投資家が短期資金を確保できなくなれば、その影響は株式や債券の運用にまで波及するでしょう。パウエルFRB議長は2019年12月11日の会見で「対処可能」と強調しましたが、現在の措置はあくまで一時的な「対症療法」に過ぎないという見方が有力です。

そこで浮上しているのが、銀行がいつでもFRBから資金を借りられる「常設レポファシリティー」の導入検討です。これは、市場がパニックに陥る前にセーフティネットを常設しようという試みですが、FRBの資産が急膨張することへの懸念も、専門家の間で根強く残っています。

FRBは、今回の資産拡大を景気刺激目的の「量的緩和」とは明確に区別し、あくまで市場を円滑にするための技術的な操作であると主張しています。しかし、供給額が膨らみ続ける現状は、かつての量的緩和のピークに迫る勢いであり、市場の一部からは冷ややかな視線も送られています。

私は、この問題の本質は「規制の副作用」にあると考えます。リーマンショック後の安全策として導入された厳しい規制が、皮肉にも平時の市場の流動性を奪ってしまいました。大手銀行の経営層からも規制修正を求める声が出ており、今後は安全性と流動性のバランスが問われるでしょう。

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