山岳地帯を駆け抜ける過酷な競技「スカイランニング」の世界で、20代半ばにして年間王者に輝いた上田瑠偉選手が、2020年春に本場フランスへ拠点を移すことを発表しました。この決断に、日本のトレイルランニング界を牽引してきたプロランナーの鏑木毅氏も熱いエールを送っています。インターネット上でも「世界への挑戦を応援したい」「自分も勇気をもらった」と、若き王者の移籍に対して数多くの好意的な反響が寄せられており、大きな注目を集めている最中です。
スカイランニングとは、標高2000メートルを超えるような本格的な山岳を舞台に、急峻な斜面を駆け登り、また駆け降りる超高地型のランニングスポーツです。鏑木氏は自身が全盛期だった頃を振り返り、当時は海外を拠点にする環境が整っていなかったため、上田選手の選択を羨ましくも思うと語ります。荒波に揉まれて一回りも二回りも成長してほしいという言葉からは、自らの夢を次世代に託すような、ベテランならではの深い期待感が伝わってきます。
鏑木氏が世界を目指した原点は、2009年6月にアメリカで開催された権威あるレースで準優勝した経験にあります。しかし、アジア人初の快挙だったにもかかわらず、周囲からは名前ではなく「髪の長い日本人」と呼ばれ、冷ややかな視線を感じたそうです。言葉の壁やアジア人の少なさが理由とはいえ、この苦い経験が氏の心に火をつけました。世界で闘うためには、こうした偏見をエネルギーに変える「反骨精神」こそが必要不可欠なのだと力説しています。
内向きな時代だからこそ外へ!異端児が日本を変える
幕末の長州藩からイギリスへ密航し、後に近代日本の礎を築いた「長州ファイブ」のように、上田選手もフランスで新たな時代を切り拓く存在になるかもしれません。昨今は若者の海外離れや安定志向が指摘されていますが、言葉や文化の違いによる苦労を恐れて、小さな島国の中に閉じこもってしまうのは非常にもったいないことです。外の世界を知ることでしか得られない、広い視野や斬新な発想が、これからの社会を動かす力になるはずです。
私自身の意見としても、現在の日本には失敗を恐れて前例を踏襲しようとする閉塞感が漂っているように感じられます。だからこそ、居心地の良い場所を飛び出し、あえて厳しい環境で自分を磨く若者の存在は、社会全体を活性化させる最高のカンフル剤になるでしょう。海外で味わう苦労は、後にそれを遥かに上回る大きな財産となって人生を豊かにしてくれます。若い世代の皆さんには、ぜひ恐れずに未知の世界へと一歩を踏み出してほしいものです。
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