がんは、日々の生活習慣やわずかな情報の差で、その後の運命が劇的に変わってしまう恐ろしい病気です。2014年からスタートし、多くの読者に支持されてきた中川恵一先生の人気連載が、2019年12月末に待望の単行本として出版されました。タイトルは『知っておきたい「がん講座」 リスクを減らす行動学』です。今回はこの書籍のエッセンスを振り返りながら、私たちが今まさに直面している「がん社会」を生き抜くための知恵を一緒に学んでいきましょう。
ネット上やSNSでも、この書籍の発売は大きな話題を呼んでいます。「がんになる前の知識がいかに大切か痛感した」「生活習慣を見直す良いきっかけになった」といった声が相変わらず多く寄せられており、現代人の関心の高さが窺えます。がんの恐怖にただ怯えるのではなく、正しい知識という武器を持つことの重要性を、多くの人が感じている証拠ではないでしょうか。編集部としても、健康なうちから予防意識を高めることが何よりの防衛策であると強く確信しています。
運命を分ける「予防」と「早期発見」の黄金コンビ
がんと闘う上で最も強固な盾となるのが、「適切な生活習慣」と「早期発見」をセットで意識することです。最大の危険因子とされる喫煙はもちろん、過度な飲酒も体に深刻なダメージを与えます。バランスの取れた食事や日々の運動を継続することは「言うは易く行うは難し」ですが、健康を維持するためには決して妥協できません。万が一発症しても、早期に発見できれば95%近くが治るとされています。定期的な検診は、命を守るために不可欠な習慣なのです。
特に国が効果を認めている「5大がん検診」をご存じでしょうか。これは胃がん、子宮頸(けい)がん、肺がん、乳がん、大腸がんを指します。子宮頸がんは子宮の入り口にできる悪性腫瘍で、若い女性にも急増している病気です。これらの検診を定期的に受けることが、生存率を劇的に引き上げる鍵となります。「自分は大丈夫」という根拠のない自信は捨て、検診のスケジュールをカレンダーに刻むことから始めてみませんか。
仕事と治療を両立させる「がん社会」のサバイバル術
医学の進歩により、がん治療は手術だけでなく、放射線治療や薬物療法を組み合わせる時代へと進化を遂げました。日本では手術が選択されがちですが、アメリカでは半数以上の患者が放射線治療を選んでいます。体にメスを入れない放射線治療は、体力を維持しながら社会復帰を目指す上で非常に有効な選択肢です。これからは、患者自身がライフスタイルに合わせて治療法を「選ぶ」時代が到来していると言っても過言ではありません。
現在、がんを患う人の3人に1人は現役の働く世代です。さらに、告知を受けた後も4人に3人は仕事を続けたいと切望しています。がんは細胞のコピーミスが積み重なる「細胞の老化」とも言える病気であるため、定年の延長などで働く人が高齢化すれば、当然職場でがんになる人も増えていきます。企業にとって、仕事と治療の両立を支援することは、もはや義務であり、国が進める「働き方改革」の最重要テーマでもあるのです。
こうした課題を解決すべく、厚生労働省は「がん対策推進企業アクション」という国家プロジェクトを推進しています。これは企業内での検診受診率を高め、病気になっても安心して働き続けられる職場環境を作る試みです。推進パートナー企業の総従業員数は2020年1月29日時点で775万人に達しており、社会全体で支える仕組みが急速に広がっています。誰もが平等に得られる「知識」という武器を手に、私たち全員で健康な長寿社会を築いていきましょう。
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