がんは現在、日本人の2人に1人が直面する極めて身近な疾患となりました。医療の進歩により、早期に発見できれば生存率を飛躍的に高めることが可能ですが、その「見つける技術」が今、劇的な進化を遂げています。特に注目を集めているのが、人工知能(AI)を駆使した革新的な診断支援システムです。
2019年12月12日、最先端の医療現場ではAIが医師の強力なパートナーとして台頭しています。SNS上でも「AIなら見落としがなくて安心」「人間と機械のダブルチェックは心強い」といった期待の声が溢れており、テクノロジーが医療の質を底上げする時代が本格的に到来したといえるでしょう。
内視鏡検査の常識を変えるAIの眼
東京都内の病院では、内視鏡検査にAIを導入する試みが進んでいます。AIメディカルサービス社が開発した画像診断AIは、胃の画像を1枚あたりわずか0.02秒という驚異的な速さで解析します。その精度は98%に達し、医師が気づきにくい微細な「ひきつれ」や異変を瞬時に特定してモニターに警告を表示します。
ここでいう「治験」とは、新しい医療機器や薬が国の承認を得るために、実際の患者さんの協力を得て安全性や効果を確認する試験のことです。同社は2020年度に治験を開始し、2021年の実用化を目指しています。内視鏡医として20年の経験を持つ多田智裕CEOは、専門医不足の解消に向けて強い意欲を燃やしています。
多田CEOは「将来、内視鏡にAIを搭載するのはカーナビを付けるのと同じくらい当たり前になる」と語ります。熟練の医師でも避けられない「見落とし」のリスクを、膨大な学習データを蓄積したAIがカバーする。そんな未来は、もうすぐそこまで来ているのです。
「痛くない」検査が受診のハードルを下げる
早期発見には検査の精度だけでなく、受診しやすさも不可欠です。特に乳がん検診におけるマンモグラフィーは、乳房を挟む際の痛みや心理的抵抗が課題でした。これに対し、リリーメドテック社は2019年11月から、超音波を用いた「痛くない」検査装置の治験を昭和大学病院で開始しています。
この装置は、ベッドにうつぶせになり、お湯を張った部分に乳房を入れるだけで3D画像を自動生成します。放射線を使わないため被曝の心配がなく、プライバシーにも配慮された設計です。日本の乳がん検診率は約4割と低迷していますが、こうした負担の少ない選択肢が増えることで、多くの命が救われるはずです。
また、大腸がん分野ではアデノプリベント社が2019年8月から「腸内細菌」に着目したリスク検査を開始しました。これは検便のみで、がんのリスクを高める有害物質「コリバクチン」を生成する菌の有無を調べるものです。内視鏡検査に抵抗がある人にとって、最初の一歩を踏み出す重要な指標となるでしょう。
医療格差を埋めるスタートアップの使命
私は、これらのスタートアップ企業の挑戦が、単なる技術革新に留まらず、医療の「地域格差」を埋める鍵になると確信しています。高度な専門設備が必要だった検査が、AIや超音波技術によって小規模なクリニックでも実施可能になれば、地方在住の方でも質の高い医療を享受できるからです。
もちろん、これらが公的な医療機器として普及するには、国の厳しい承認プロセスを通過し、大手企業との連携による安定した供給体制を築く必要があります。しかし、AIの分析力と手軽な検査手法が「車の両輪」として機能すれば、がんは「早期に見つけて完治させる病」へと完全に姿を変えるに違いありません。
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