富山県内を走るお馴染みのローカル線、城端線と氷見線に大きな転換期が訪れています。JR西日本は2020年01月29日、これら2路線のあり方について、次世代型路面電車である「LRT」への移行を含めた新しい交通体系の検討を始めると発表しました。沿線の自治体や富山県に対して、今後の運行形態についての議論を正式に提案したのです。単なる路線の維持ではなく、運営の仕組みそのものを抜本的に見直す画期的な議論がいよいよスタートします。
ここで注目されるLRTとは、床が低くて乗り降りしやすい車両や、騒音が少ない快適な乗り心地を特徴とする新しい路面電車システムのことです。JR西日本は、このLRTを導入すればバリアフリー化が進み、列車の運行本数を増やすこともできるため、利用者の利便性が大きく向上すると説明しています。さらに、現在走っているディーゼル車と比較して、将来的な維持費を安く抑えられるという経営面での大きなメリットもあるようです。
SNS上ではこの発表に対して、「LRT化で本数が増えたら便利になりそう」「新幹線からの乗り換えがスムーズになると嬉しい」といった期待の声が寄せられています。その一方で、「味のあるディーゼルカーが消えてしまうのは寂しい」「赤字路線の切り捨てにならないか心配だ」という、長年路線を愛してきた鉄道ファンや地域住民からの複雑な本音も飛び交っており、ネット上でも非常に高い関心を集めている様子がうかがえます。
現在の利用状況を見てみますと、2018年度の1日あたりの平均通過人員は、城端線が2899人、氷見線が2552人となっています。北陸新幹線の開業後は観光客の利用もあり、極端な減少は免れているものの、JR西日本が発足した1987年度の時点と比較すると、両路線ともに約6割の規模にまで落ち込んでいるのが実情です。2018年度の旅客収入も2路線を合わせて4億4400万円ほどに留まり、厳しい経営環境が続いています。
かつて本州の移動を支えた旧JR北陸線という「幹」は、新幹線の開業に伴って第三セクターである「あいの風とやま鉄道」へと引き継がれました。その結果、枝葉の部分にあたる城端線と氷見線だけをJR西日本が孤立して運行する形になり、効率の悪さが課題となっていたのです。民間企業として一歩踏み込んだ提案を行ったJR西日本の姿勢は、持続可能な地域交通を守るための現実的かつ前向きな決断であると私は評価します。
富山県内では、かつて旧富山港線が「富山ライトレール」としてLRT化され、駅の増設やバリアフリー化によって見事に利用者を増やした成功例があります。しかし今回の2路線は、より人口減少が進む地域を走るため、同じようにいくかは未知数です。富山県の石井隆一知事は提案を歓迎しつつも、費用負担についてはJR側を牽制する姿勢を示しており、誰が運営し、誰がお金を出すのかという議論はこれから激しい曲折が予想されるでしょう。
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