横浜市は2020年01月29日、一般会計の総額が1兆7400億円となる2020年度の予算案を公表しました。今回は新市庁舎の建築といった大規模な投資が一段落したため、2019年度と比べて1.2%減少しており、6年ぶりに前年度の規模を下回る形となっています。この予算案の発表に対してSNS上では、自分たちの生活にどう直結するのか注目する声や、子育て支援の充実に期待を寄せる声が数多く上がっているようです。
記者会見に臨んだ林文子市長は、2020年は横浜にとって数多くのチャンスが訪れる輝かしい1年になると力強く語りました。東京オリンピック・パラリンピックの開催や、大型クルーズ船を迎え入れる体制の強化、さらに新しい集客施設のオープンなどが控えています。こうした絶好の機会を最大限に活かし、街の経済成長と市民の暮らしの充実を両立させるために、今回の予算では産業の振興や保育・教育の分野へ手厚く財源が配分されました。
街の財政を支える市税収入に目を向けると、2019年度比で1%増となる8461億円が見込まれています。個人の市民税が3%伸びる一方で、企業の利益にかかる法人市民税は、国の税制改正の影響を受けて20%もの大幅な減収となる見通しです。また、市民が他の自治体に寄付を行う「ふるさと納税」による横浜市の減収額は151億円にのぼると推計されており、貴重な財源が流出してしまう現状に対して、インターネット上でも懸念の声が広がっています。
支出の面では、職員の人件費や、福祉サービスのために支出される「扶助費(ふじょひ)」がそれぞれ3%増加する予測です。扶助費とは、高齢者や障害のある方への支援、子育て世帯のサポートなどに充てられる必要不可欠な費用のことを指します。これらに借金の返済にあたる公債費などを加えた「義務的経費」、つまり削ることが難しい固定費の割合は62.1%に達しており、前年度より2.5ポイント上昇して財政の硬直化が進んでいる印象を受けます。
そんな中、市が将来の大きな財源として期待を込め、2019年に誘致を正式表明したカジノを含む統合型リゾート(IR)関連事業には4億円が計上されました。民間事業者の公募や選定を進めるほか、周辺のインフラや交通アクセスの調査が行われます。これに合わせるように、横浜市内ではIR産業展が開幕し、多くの建設会社や事業者が集まり熱気に包まれています。SNSではIR誘致への賛否両論が激しく交わされており、市民の関心の高さがうかがえるでしょう。
また、林市長が情熱を注ぐ新しい劇場の整備計画についても、基本計画の策定に向けた調査費が盛り込まれました。経済を活性化させる施策としては、深刻な人手不足に悩む中小企業を助けるため、地元の魅力を発信したり外国人材の活躍を後押ししたりする支援策がスタートします。さらに、新しく農業を始める人を対象に農業機械の購入費などを助成するユニークな試みも新たに導入され、幅広い産業への目配りを感じさせます。
子育てや教育の環境づくりも加速していく方針です。保育所の新設を進めるだけでなく、幼稚園で2歳児を受け入れる仕組みを整えることで、待機児童の解消を目指します。これにより、全体で約2000人分の受け入れ枠が新たに拡大される計画です。加えて、2020年度から小学校で義務化される「プログラミング教育」にスムーズに対応できるよう、パソコンやインターネットなどの情報通信技術を意味する「ICT環境」の整備にも全力を挙げます。
かつて米軍の施設だった広大な跡地の有効活用も、いよいよ具体的な一歩を踏み出します。返還された旧上瀬谷通信施設の跡地を整備するため、土地の区画整理や新しい交通機関の導入に向けた測量・設計に着手する予定です。一方で、2019年度に相次いだ台風被害への対応で財政が圧迫されたため、貯金にあたる財政調整基金から36億円を取り崩すほか、借金返済のために積み立てていた減債基金も200億円活用して財源不足を補います。
行政の健全さを表す指標に、借金を除いた税収で政策経費をまかなえているかを示す「プライマリーバランス(基礎的財政収支)」があります。林市長は、2021年度までの中期計画の中で確実にこのバランスを均衡させられると自信をのぞかせました。急速に進む人口減少や少子高齢化という厳しい現実に立ち向かうには、ただ支出を削るだけでなく、IR誘致や産業振興によって新たな富を生み出し、財政を健全化させていく前向きな姿勢が不可欠です。
これからの横浜が、世界中から集まるチャンスを味方につけてどのように進化していくのか、今後の動向から目が離せません。
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