2002年6月24日、日本の受動喫煙対策において記念すべき一歩が記されました。それは、東京都千代田区で、路上での喫煙、いわゆる「歩きたばこ」や吸い殻のポイ捨てを禁止し、違反者には過料(かりょう)として2,000円の罰則を設けた「生活環境条例」が全国で初めて成立した出来事です。この英断は、国内有数のビジネス街である大手町などを抱え、昼間人口が住民の約25倍にあたる100万人にも膨れ上がるとされる千代田区特有の事情が背景にあります。オフィスで働く会社員らによる路上喫煙が常態化し、区の住民からは、通行の妨げや危険、そして街の景観を損なうことに対する不満が噴出していたのです。
この条例の目的は、単なるマナー啓発に留まらず、歩行者に対する受動喫煙(じゅどうきつえん:他人のタバコの煙を吸い込むこと)の迷惑や、タバコの火による危険を排除し、街の美化を推進することにあります。この画期的な罰則付きのルール導入は、昼夜の人口差が大きい多くの都市部が抱える共通の課題に対する一つの明確な解答として受け止められました。その結果、千代田区に続き、同様の条例を制定する自治体が全国へと瞬く間に広がり、日本の喫煙ルールは大きな転換期を迎えることになったのです。
この条例が成立した当時、SNSでは「ついに罰則付きで禁止になったか!」「住民としては大歓迎」「オフィス街は本当に煙たくて困っていた」といった区民やオフィスワーカーからの賛同の声が多く見受けられました。一方で、「喫煙所を増やしてからにしてほしい」「喫煙者への風当たりが強すぎる」といった意見もあり、喫煙者と非喫煙者の間で議論が巻き起こるきっかけともなりました。しかし、私自身、非喫煙者の立場として、他人の健康を害する可能性のある行為に罰則が設けられたことは、社会全体の公衆衛生を守る上で極めて重要な前進だと強く支持するものでございます。
加速する喫煙対策!健康増進法と東京都の取り組み
千代田区の条例成立以降、喫煙者を取り巻く環境は一段と厳しさを増しています。特に受動喫煙防止の流れは加速しており、国の法律や自治体の条例による規制が次々と導入されています。例えば、この条例が制定された2002年時点でも既に、健康増進法の改正によって、2019年7月からは全国の病院や保育所、行政機関といった公共性の高い施設の建物内は原則として完全禁煙となることが決定していました。これは、特に健康弱者が利用する施設や、子どものいる場所での受動喫煙を徹底的に排除するための措置だと言えるでしょう。
さらに、喫煙対策の最前線である東京都では、2019年9月から、都独自の受動喫煙防止条例に基づき、学校などの教育施設では屋外も含めて全面的に禁煙が義務付けられます。そして、2020年4月には、東京オリンピック・パラリンピックの開催を控えたタイミングで、この都条例が全面的に施行される予定です。これにより、多くの人が利用する飲食店などの施設では、原則として屋内禁煙となり、喫煙できる場所は大幅に制限されることになります。この一連の流れは、喫煙者にとって決して快適な状況ではないかもしれませんが、誰もが安心して暮らせるクリーンな都市環境を実現するための、不可避な社会の要請であると理解すべきでしょう。
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