新しい命の誕生という輝かしい瞬間が、悲しい結末を迎えてしまいました。2015年1月9日に東京都練馬区にある「桜台マタニティクリニック」で帝王切開の手術を受け、その後に亡くなった当時35歳の女性がいらっしゃいます。ご遺族が医師とクリニックの運営法人を相手に、約1億7000万円の損害賠償を求めていた裁判で、大きな進展が見られました。東京地方裁判所は2020年1月30日付の判決において、クリニック側に約1億2000万円の支払いを命じたのです。
判決において伊藤正晴裁判長は、高度な医療機関への搬送が遅れたことに対する注意義務違反を明確に認めました。亡くなった女性は、2015年1月9日の午後6時過ぎに緊急の帝王切開によって長女を出産しています。しかし、その後に危険な「出血性ショック」に陥ってしまいました。これは、大量の出血によって体に十分な血液が巡らなくなり、主要な臓器が機能しなくなる極めて危険な状態を指します。産科医療において、最も警戒すべき重篤な合併症の一つと言えるでしょう。
日本産科婦人科学会などが定めたガイドラインに基づくと、当時の女性はすでに深刻な危機に瀕していたと指摘されています。それにもかかわらず、医師の緊急性に対する認識は不十分だったと判断されました。速やかに輸血対応ができる大きな病院へ女性を転院させるべきだった、というのが裁判所の見解です。もっと早い段階で適切な医療機関へと搬送されていれば、十分に救命できた可能性が高かったと考えられます。
結果として女性は、出産翌日となる2015年1月10日の未明に大学病院へ運ばれましたが、同日の朝に息を引き取りました。残された静岡県在住の40歳の夫と、5歳になった長女の深い悲しみは計り知れません。この判決に対して、SNS上では「明日は我が身かもしれない」「個人病院での出産リスクを再認識した」といった、不安や教訓を語る声が多く寄せられています。大切な家族を失った遺族の無念に寄り添う書き込みも、後を絶ちません。
今回の判決を受け、クリニックの運営法人は、まだ判決文が届いていないことを理由にコメントを差し控えるとしています。このような痛ましい医療事故を防ぐためには、医療機関がガイドラインを徹底遵守することが何よりも不可欠です。特に出産という命懸けの現場においては、予期せぬトラブルに対して一刻を争う判断が求められます。すべての産科クリニックが救急搬送の基準を見直し、大病院との連携を強化することを切に願ってやみません。
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