子どもを守るべき学校が、そのSOSを無視して問題を隠蔽してしまったら、被害者はどこに救いを求めれば良いのでしょうか。そんな教育現場の在り方を厳しく問う注目の裁判で、大きな進展がありました。かつて小学生の時に深刻ないじめに遭い、教職員らが適切な対応を怠ったことで、心的外傷後ストレス障害、いわゆる「PTSD」を患ったとして、現在は20代となった女性が東京都府中市に損害賠償を求めていた訴訟の控訴審判決が、大きな話題を呼んでいます。
東京高等裁判所の野山宏裁判長は、2020年01月22日付で、一審の東京地方裁判所立川支部が下した請求棄却の判決を覆す決断を下しました。なんと府中市に対して約750万円の支払いを命じる逆転勝訴の判決を言い渡したのです。今回の判決の画期的な点は、学校側の過失と被害女性が抱えるPTSDとの間に、明確な因果関係が存在すると認定した部分にあります。裁判長は、当時の学校の姿勢を「いじめ問題を封印して闇に葬った」という極めて強い言葉で厳しく非難しました。
ここで注目されるPTSDとは、命の危険を感じるような強い恐怖や衝撃を体験した後に、その記憶が自分の意志とは関係なくフラッシュバックしたり、強い不安に襲われたりする心の病気です。当時、女性を診察した医師は、校長や担任の教諭に対して「このPTSDの根本的な原因はいじめにある」と、はっきり説明を行っていました。しかし、学校側はその言葉を真摯に受け止めるどころか、児童たちが「単にふざけ合っていただけだ」と言い放ち、頑なに自らの非を認めようとしませんでした。
こうした教職員らの不誠実な対応こそが、女性の精神的な傷をさらに深め、現在に至るまでPTSDの症状を長期化させる原因になったと裁判所は結論づけています。このニュースが報じられると、SNS上では「学校の隠蔽体質に一石を投じる判決だ」「ふざけ合っていたで済まそうとする大人の身勝手さに怒りを覚える」といった、被害者に寄り添い共感する声が爆発的に広がりました。長い間苦しんできた女性の痛みに光が当たったことを、多くの人が支持しているのでしょう。
教育という聖職に携わる者たちが、被害児童の未来を壊してしまった罪は決して軽くありません。私自身、今回の高裁判決は当然の結果であり、むしろ遅すぎた救済であると感じています。いじめは単なるトラブルではなく、被害者の人生を狂わせる重大な人権侵害です。学校側が自らの保身のために問題を封印する行為は、教育虐待に等しいと言えるでしょう。この判決を契機に、すべての教育機関が過去の対応を猛省し、子どもたちの命と心を最優先で守る組織へと生まれ変わることを切に願います。
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