リサイクルの優等生に忍び寄る危機!古紙価格暴落と回収網崩壊のリアル

私たちが日常的に行っている古紙回収。段ボールや新聞紙が再び資源として生まれ変わる仕組みは、日本が誇る「リサイクルの優等生」といわれてきました。しかし、2020年2月2日の現在、そのシステムが今、重大な危機に直面しています。環境規制を強める中国への輸出が激減し、国内に古紙が溢れかえっているのです。

「古紙は出せません」――。そんな衝撃的な貼り紙が、2019年12月に横浜市港北区や鶴見区の住宅街に出されました。町内会などが地域の事業者に委託していた「集団回収」が、業者の撤退によりストップしてしまったのです。集団回収とは、地域住民が協力して新聞や段ボールなどの資源を集め、業者に引き渡すことで、地域内の活動資金を得る仕組みのことです。身近なリサイクルの要が機能不全に陥る事態に、地域住民からは困惑の声が広がっています。

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なぜ今、古紙回収が危機に瀕しているのか

この背景にあるのは、古紙の価格暴落です。関東製紙原料直納商工組合によると、2019年12月時点の古紙在庫は前年同月比で45%も増加しました。行き場を失った古紙により、買取価格は大幅に下がっています。代表的な段ボール古紙の場合、1キログラムあたりの買取価格は5円から6円程度まで落ち込み、わずか1年で半値まで暴落したのです。

業者側もボランティアで回収しているわけではありません。人件費や燃料代を賄うためには、適正な価格での売却が不可欠です。しかし、急激な価格下落により収益が立ち行かなくなり、群馬県太田市のように事業継続を断念するケースが後を絶ちません。まさに今、長年培われてきた貴重な回収網が、音を立てて崩れようとしているのです。

中国の環境規制が招いた「在庫の山」

この問題の引き金は、中国の環境政策です。かつて中国は、爆発的な電子商取引(EC)の拡大を背景に、膨大な古紙を日本から輸入していました。しかし、古紙に混ざる異物や汚れを「環境汚染の原因」とみなした中国政府は、2019年から輸入枠を大幅に削減。日本の古紙再生促進センターによると、2019年1月から11月の対中輸出量は、段ボールで4割減という深刻な状況です。

SNS上でも「リサイクルって結局海外頼みだったの?」「家庭で分別の努力をしても、回収されなきゃ意味がない」といった不安や憤りの声が上がっています。まさに、これまで「資源」として輸出できていたものが、一夜にして「ゴミ」として国内に滞留する事態となったのです。東南アジアへの輸出拡大で穴埋めを試みていますが、中国の需要減を補うには程遠いのが実情です。

未来の地球のために、今こそ必要な視点

業界団体である東京都資源回収事業協同組合は、1月下旬に「非常事態」を宣言しました。自治体に対して財政支援を求めていますが、現状では東京23区のうち、支援金増額制度があるのはわずか8区に過ぎません。千葉市のように助成金を増額し、なんとか回収網を守ろうとする自治体も現れていますが、全国的な広がりには課題が残ります。

私個人としては、この事態は「リサイクルコスト」を我々消費者がどう捉えるかを突きつけていると感じます。SDGs(持続可能な開発目標)が叫ばれる一方で、リサイクル網の維持には経済的な支えが不可欠です。プラごみ問題と同様に、安易な輸出に頼らない、国内で循環させる仕組みの構築を急ぐべきでしょう。私たち一人ひとりが「出す」だけでなく、その後の流通まで想像を巡らせることが、今まさに求められているのではないでしょうか。

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