保険は「災害後の補償」から「未然の回避」へ。デジタル技術が損害保険の未来をこう変える!

データビジネスという言葉が定着して久しい現代ですが、実は損害保険業界こそ、古くからデータを駆使してリスクを分析し、商品を設計してきた「データ活用のプロフェッショナル」と言える存在です。これまで積み重ねてきた膨大な知見に、人工知能(AI)やロボットといった最新テクノロジーを組み合わせることで、今、損保の役割は劇的な変化を遂げようとしています。三井住友海上火災保険の原典之社長は、この変革を「リステック(リスク×テクノロジー)」という言葉で表現し、これからの時代、損保会社は単なるリスクの補償だけでなく、社会課題の解決やイノベーションを積極的に後押しする存在になるべきだと力強く語っています。

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「事故を防ぐ」から「リスクを予知する」へ

では、具体的にどのような形でデジタル技術が私たちの生活を守るのでしょうか。そのヒントとなるのが、2019年12月の道路交通法改正を受けて開発された、企業向けの新しい自動車保険です。この保険では、車内に搭載したカメラが顔認証技術を活用して運転手を特定し、万が一「ながら運転」を検知すれば即座に警告を発します。さらに、急ブレーキの癖など個別の運転特性まで可視化することで、事故そのものを未然に防ぐ仕組みを提供しています。テクノロジーが人の注意力を補うことで、働く人々の安全を確実に守ろうとする姿勢がうかがえます。

加えて注目したいのが、健康分野での挑戦です。現在検討されているのは、健康診断のデータをもとに、生活習慣が改善されない場合に将来どのような障害が起こりうるか、また数年後の顔つきがどう変化するかを加工写真で見せるというアプリを付帯した保険です。まさにデジタルだからこそ可能な「リスクの可視化」といえるでしょう。SNS上でも「これなら健康意識が変わりそう」「保険会社がここまでやる時代なのか」と、その先進的な試みに対して驚きと期待の声が上がっています。

社会課題の解決を目指す「リステック」の挑戦

災害大国である日本において、損保会社が持つ建物の構造データや立地データと、自治体が保有する被害想定データを掛け合わせる取り組みも、防災・減災の切り札として期待されています。これまで災害が起きた後の損害を補償するのが保険の主な役割でしたが、今後は蓄積されたデータを分析して避難ルートや連絡体制の構築を支援するなど、被害を最小限に抑える「未然の守り」へとシフトしていくべきでしょう。私もこの考え方には強く共感します。リスクをテクノロジーで制御し、社会のレジリエンス(回復力)を高めることは、少子高齢化が進む日本における重要な成長エンジンとなるはずです。

デジタル技術は、企業がサイバーリスクという新たな脅威と対峙する際にも、強力な盾となります。保険業界が持つ開拓のフロンティアは、まだ広く残されているのです。損保会社は今、単なる金銭的な補償機関から、安心な社会を設計するパートナーへと進化しつつあります。今回の課題を通じて、デジタル世代の皆さんの柔軟なアイデアが集まることで、さらに画期的な保険のあり方が生まれることを期待しています。皆さんは、デジタル技術を活用して、どんな新しい安心を創り出したいと考えますか。

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