インターネットを通じて国境を越えてビジネスが展開される現代、税のあり方が大きな転換点を迎えています。2020年2月4日の時点で、経済協力開発機構(OECD)を中心に議論が進められているのは、グローバル企業に対する新しい法人課税ルールです。特に、一つの利益に対して複数の国が課税してしまう「二重課税」をいかに防ぐかが、議論の最重要課題となっています。
二重課税とは、同じ所得に対して複数の国の税務当局から課税を受けることで、企業にとっては深刻な負担増となります。これを防ぐため、OECDは国家間での税収争いを抑止し、事前に課税の配分を調整するための「多国間協議体(パネル)」の設置を検討しています。つまり、争いが起きた後で解決するのではなく、事前にルールを定める予防策へのシフトです。この動きに対し、SNS上では「巨大IT企業への課税強化は賛成だが、手続きが煩雑になりビジネスの足かせにならないか」「公平性の担保が難しそうだ」といった、期待と懸念が入り混じった声が上がっています。
事前確認と国際仲裁という難問
この仕組みは、企業が事前に当局と課税方法を合意する「事前確認(APA)」の考え方を多国間に拡大しようとするものです。しかし、一対一の国同士の交渉ですら時間がかかる中で、多数の国が関わる多国間での合意形成には大きな困難が予想されます。現状でも、日本で事前確認の処理に平均で34カ月以上かかるケースもあり、手続きのスピード感は企業の競争力を左右する重要な要素でしょう。
また、万が一二重課税が発生した際の解決策として検討されている「国際仲裁」には、新興国が強く反発しています。仲裁人に欧米の弁護士が選ばれやすく、先進国に有利な判断が下されるのではないかという懸念があるからです。加えて、憲法上の制約から「外国の判断で税負担が決まること」を認められない国も少なくありません。公平なルール作りには、こうした各国の利害をいかに調整するかが問われます。
私は、デジタル経済の健全な発展には、確固たる国際ルールが不可欠だと考えます。しかし、それがかえって複雑な事務負担を企業に強いる結果となっては本末転倒です。OECDには、単なるルール作りに留まらず、企業のイノベーションを阻害しない実効的かつ簡潔な枠組みの構築を強く望みます。税収を奪い合うのではなく、グローバルな共栄を目指す知恵が試されているのではないでしょうか。
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