2020年2月4日、日本の産業界を揺るがすような発表がなされました。大手ガラスメーカーであるAGCのグループ企業、AGCプライブリコが製造・販売する金属製品において、日本産業規格、いわゆるJIS規格を満たさないまま、長期間にわたり出荷されていたという事実です。産業の根幹を支える企業において、一体何が起きていたのでしょうか。
問題となった製品は、鉄鋼炉やごみ焼却炉などの内部にある耐火物を固定するための金属製部材、「耐火材用耐熱鋳鋼アンカー」です。炉の壁面を構成する耐火材を支えるという、極めて重要な役割を持つパーツですね。今回、クロムや炭素、ニッケルといった成分バランスが、定められた規格の数値を逸脱していたことが判明しました。
長年放置された不正の背景と再発防止の行方
この事態が発覚したのは、2019年11月のことでした。驚くべきことに、この不正は2005年から続いていたといいます。実に14年もの長きにわたり、国内外の88社へ約10万個もの不適合品が出荷されていたのです。本来ならば厳格であるはずの品質試験の成績表が、実際のデータに基づかず作成されていたという事実は、企業統治のあり方に大きな疑問を投げかけざるを得ません。
製造を委託していた協力会社が2017年に廃業したこともあり、真相解明は困難を極めているようです。当時の担当者が試験を実施せずに成績表を捏造していたとされる背景には、現場の慢心があったのでしょうか。現在、SNS上では「信頼していたブランドだけに残念だ」「安全への影響はないというが、長年の不安は消えない」といった厳しい声が相次いでいます。
企業は対象製品について、耐火物の落下など安全上の深刻な影響はないと説明しています。しかし、消費者の信頼を回復するには、単なる釈明ではなく、再発防止に向けた根本的なガバナンスの立て直しが不可欠です。私たちは、こうした「品質偽装」の問題を決して他人事として見過ごしてはならないのではないでしょうか。
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